カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

「夕陽」「砂時計」「無敵のかけら」ジャンル「童話」より・終わらない物語

2015-02-09 13:35:56 | 三題噺
 良く出来た『オハナシ』の結晶を丁寧に砕いて作った砂粒をガラス容器に封じ入れた砂時計は、ひっくり返すごとに『オハナシ』の中に隠されていた様々な『モノガタリ』を奏で始める。そして、砕かれた結晶が細かければ細かいほど、密かな音を立てて奏でられる『モノガタリ』は様々な色彩で輝いてみせる。

 子供が一番初めに聞いた『オハナシ』では語られなかった、悪役の事情、脇役の生活、主人公たちの日常。

 一つの『オハナシ』に隠されている『モノガタリ』の数はとても膨大で、砂時計の『モノガタリ』を楽しむ子供はいつの間にか陽が暮れてしまったことにも気付かないほどだ。
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「無茶しやがって」より・栄光の報酬

2015-02-09 00:01:01 | だからオレは途方に暮れる
 最近オレの帰りが遅くなったのは何かあったのかと爺さんが聞いてきたので、連日同級生の家まで引きずられて勉強させられていると答えた。ついでに当の同級生であるあいつとあいつの爺さんの名前を教えたら、何故か思い切り爺さんの表情が渋くなる。
「なんだよ、あいつの家に行くなってことか?」
「そんなことは言っておらん……昔のことを思い出しただけだ」

 爺さんとあいつの爺さんは、昔、ちょうどオレとあいつのような関係だったらしい。つまりは人嫌いの爺さんを脳天気なあいつの爺さんが散々に引っ張り回し、周囲も何となくそれが自然なことだと認識する、そんな状態だ。
「ヤツは悪い奴じゃなかったし、今から考えてみればワシもそれなりに楽しんでいた」
 だが、それでも、と言いかけて爺さんの言葉は途切れる。そのまま何となく気まずい雰囲気の中で溜息をついてから言葉を続ける爺さん。
「……コレから何があるかは分からんが、お前の好きにすれば良かろう」
 いや今はどちらかというとオレがあいつの好きにされているから、などと混ぜ返すことも出来ぬまま、オレは黙って飯を食うことに専念する。

 しかし、何だってあいつはオレにあそこまで絡んでくるんだろう?
 そんな疑問もふと浮かんだりしたが、勿論その時のオレに答えなど出せるはずもなかった。

 とりあえずあいつとの勉強会は、次のテストでオレがあいつには及ばないにしろ、なかなかの高得点を獲得するまで続いた。先生から返されたテスト用紙をこれ見よがしにリビングのテーブルに置いておくと、それを見つけた爺さんはオレに向かってただ一言だけ声をかけてきた。
「やれば出来るんじゃな」

 その晩の晩飯は珍しくオムライスが出た。卵焼きが所々破れた歪な形のそれに、オレはケチャップで思い切り自分の名前を書いてからスプーンを突き刺してやった。
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