父が亡くなり、姉の所に同居している母に、夫と一緒に会いに行く。
随分、年をとったなと、会うたびに辛くなる。いつ寝ているのだろうと思うほど働き者で。でもいつも笑顔一杯の母が、もう誰かの手を借りなくては生活出来なくなっている。記憶もおぼろになり、同じ事を何回も繰り返す。
一緒の部屋に寝るのを、何よりも喜ぶ。父が亡くなるまでベットを並べて寝ていた。寝付くまでイロイロな事を話しながら。だから一人は寂しいと。
朝、いつも混乱し涙ぐむ。目覚めると、自分がどこにいるのか分からず、どうしてここにいるのか分からない。分からないと言う事が悲しいと。母に言う。「分からないという事が分かるなんて素晴らしい。哲学だよ。本当にボケたら、分からない事も分かる事も考えられないよ」と。「お前は面白い事を言う」と笑う。
田植えしたり、稲刈りしたり、畑を耕し野菜を植える夢を良く見るそうだ。夢の中でも忙しくて、大変で辛い。そして目覚めると「夢で良かった。もう泥だらけにならなくていいんだ」とホッとする。そして、すぐ悲しくなっていつも泣いてしまうと。夢ではあんなに元気に走り回って仕事が出来るのに、現実の自分は歩くのもままならない。着物を縫い、布団も作り、セーターも編み、何でも出来ない事はなかった指がボタンも満足にはめられない。こんな体になってしまったと泣く。何と慰めていいのか、背中をさすってやる。
朝食を食べる頃は、普通になってニコニコと可愛いおばあちゃんになる。そして、ちょこんとコタツに入っている。
自分の未来を想像すると、年老いて行く事は辛く残酷な事なのだなと、悲しくなる。私は人生の長い道を随分と遠くまで歩いて来たんだなと思う。これからどれくらいの距離を歩いて行くんだろう。母の年まで歩けるのだろうか、それとも、その先まであるのだろうか。
随分、年をとったなと、会うたびに辛くなる。いつ寝ているのだろうと思うほど働き者で。でもいつも笑顔一杯の母が、もう誰かの手を借りなくては生活出来なくなっている。記憶もおぼろになり、同じ事を何回も繰り返す。
一緒の部屋に寝るのを、何よりも喜ぶ。父が亡くなるまでベットを並べて寝ていた。寝付くまでイロイロな事を話しながら。だから一人は寂しいと。
朝、いつも混乱し涙ぐむ。目覚めると、自分がどこにいるのか分からず、どうしてここにいるのか分からない。分からないと言う事が悲しいと。母に言う。「分からないという事が分かるなんて素晴らしい。哲学だよ。本当にボケたら、分からない事も分かる事も考えられないよ」と。「お前は面白い事を言う」と笑う。
田植えしたり、稲刈りしたり、畑を耕し野菜を植える夢を良く見るそうだ。夢の中でも忙しくて、大変で辛い。そして目覚めると「夢で良かった。もう泥だらけにならなくていいんだ」とホッとする。そして、すぐ悲しくなっていつも泣いてしまうと。夢ではあんなに元気に走り回って仕事が出来るのに、現実の自分は歩くのもままならない。着物を縫い、布団も作り、セーターも編み、何でも出来ない事はなかった指がボタンも満足にはめられない。こんな体になってしまったと泣く。何と慰めていいのか、背中をさすってやる。
朝食を食べる頃は、普通になってニコニコと可愛いおばあちゃんになる。そして、ちょこんとコタツに入っている。
自分の未来を想像すると、年老いて行く事は辛く残酷な事なのだなと、悲しくなる。私は人生の長い道を随分と遠くまで歩いて来たんだなと思う。これからどれくらいの距離を歩いて行くんだろう。母の年まで歩けるのだろうか、それとも、その先まであるのだろうか。