ふみさんの日々雑感

生活の事、家族の事、大好きなサッカーの事・・・日々いろいろ

新成人に向けて

2007-01-08 11:26:49 | Weblog
新聞に載っていた詩人、谷川俊太郎氏の言葉


どんな美しい記念の晴れ着も
どんな華やかなお祝いの花束も
それだけではきみをおとなにはしてくれない
他人のうちに自分と同じ美しさをみとめ
自分のうちに他人と同じ醜さをみとめ
でき上がったどんな権威にもしばられず
流れ動く多数の意見にまどわされず
とらわれぬ子どもの魂で
いまあるものを組み直しつくりかえる
それこそがおとなの始まり

今日は成人式。私の成人式は遥か遠い過去。田舎の農家の娘が都会に出て働いた。今と違い、田舎と都会の文化の違いは大変な差だった。辛い事、父母が恋しくて枕を濡らした夜もあった。今と違い、故郷に帰るのは一仕事だった。

成人の日、どんなにうれしく誇らしい気持ちになったか。大人になった事が、選挙を出来る事が、自分が一人前として認められたと。未来にまっすぐな希望の道が伸びているように思った。

今の成人達は、どんな思いを抱いているのだろう。

今が不満なら、未来が不安なら自分達で力を合わせて作り変えて行くしかない。残りの人生を数える年代になりつつある私達から見れば、社会を変えて行く時間もエネルギーもたっぷりある。

未来は若い人達や子供達のもの。もっと希望や夢を語りたい。
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名古屋行き高速バス

2007-01-06 11:19:18 | Weblog
姉の所で生活を始めた母に会いに行く。これから時々、行く事になるのでバスで行く事にした。今日に限って天気は荒れ模様。

夫に頼んだら中央高速回りの高速バスのチケットだった。中央高速は雪がボタボタと降っている。そして渋滞。東名高速の方が良かったかなと、思いながら窓の外を見る。

雪国生まれの私なのに、こんな雪を見るのは本当に久しぶり。

最近は田舎でもあまり雪は降らなくなったが、子供の頃は沢山積もった。特に1月半ば頃からの本格的な降る、積もる雪は半端ではない。

サラサラと無音の音を立てて降る雪。目に雪と認識出来ないような粉雪。すぐ向こうの立木が白一色の世界で白く浮かんでいる。時が止まったように、世界は雪の降り積む音だけになる。魅入られたように見ていると、ダンダンと庭の降った雪の量が増えて行くのが分かる。

小さい頃、よく降り積む雪を時間も忘れて見ていた。TVも無い子供の頃、いつも子供らしい妄想の世界で遊んでいた。そして、予告も無く、ファっと浮かび上がった人の姿に驚く。雪を踏む密やかな足音。

バスの窓から外の降り続ける雪景色に、貧しいけど平和だった子供の頃を思い出す。自分の住む村だけが世界だったあの頃。情報はラジオと村人のウワサだけ。

今は世界中の、日本中の隅々の事を知る事が出来る。特に最近は、怖い事、不快な事、嫌な事、暗い事ばかり目に触れ耳に入って来る。

何も無く、皆が貧しかったあの頃よりも、ありとあらゆる物や事が溢れている今、子供達は幸せなのだろうか。

毎日が不思議な事、知らない事、知りたい事、ビックリする事だらけの私の子供の頃より、直に知る事が出来て、直に手に入れる事が出来る今の子供達は、毎日を楽しんでいるのだろうか。

この年になっても、まだ知らない事を知りたく、不思議な事が無くならなく、感動に心を震わせている。今年もそんなイロイロを楽しみにしている。
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文庫「コンタクト・ゾーン」篠田節子著

2007-01-04 22:00:32 | 映画・ドラマ・小説・マンガ
最高に面白かった。この作家は好きで良く読む。始めて読んだのが、“弥勒”だった。面白くて寝るのを忘れた。この“コンタクト・ゾーン”も文庫になるのを待っていた。期待通りだった。

典型的な若くも無く年でも無く、仕事にも人生にも生き詰まっている三人の女性。アジアンリゾートにモロモロのストレス解消に行く。そして日本難民のような若い男性添乗員。中途半端な愛国心と正義感。自由奔放な彼女達を嫌悪し心で毒付く。でも外面とは裏腹に日本で不条理な男社会で生きてきた彼女達はしたたかである。彼女達は思う。海、太陽、しかし、それにセックスと続けるのは、いかにもいやらしい日本の男達の発想だ。自分と、おそらく多くの日本の女が求めているのは、ロマンスであったセックスではない。セックスはただの日常だが、ロマンスは日本では得られない非日常的体験だからだ。現地の男と親しくすると、すぐ日本の男はセックスと結びつける。でも、三人とも他人の目は気にしない。金と休暇をやっとためて来た高級リゾート地だ。

クーデターが勃発した時、彼らの考え方が生死を分けた。ちょっとした考え方の違いで添乗員は(多分男だから)巻き込まれ爆死。彼女達は観光リゾート地での大虐殺を逃れる。いみじくも添乗員が名付けバカにした“お局、白豚、ワンレン女”である事が放り込まれた民族紛争の中で身を助けるのである。

闇に紛れて逃げて流れ着いた島は虐殺が行われている都会と反対側の、まだ争いが届かない、土着の掟や風習の残る棚田の村だった。八百の精霊を敬い恐れる昔の日本の田舎に通ずるような、長老が支配する村。生き延びる為に村の女と生活と仕事を共にする。日本の昔の農村がそうでなったように過酷な労働の中に身を置く。

そして、戦争?民族紛争?政府軍?開放戦線?ゲリラ?何が是で非なのか?犠牲者を出しながらも、どっちに見方するわけでもなく、でも、その時点で自分達が生き延べる方法を考えて、したたかに協力し、あるいは知らない振りをして、嵐が過ぎるのを待つ村人達。

三人の、性格の全然違う日本女性の適応の仕方、困難に立ち向かう考え方の違い。違うからこそ、三人で補い合いながら、あまりにも想像を絶っする非日常に立ち向かって行けるのだろう。そして経験と知恵と助け合いでいつかは日本に帰れる事を夢見て村に溶け込み生き延びて行く。

物語はドキュメンタリのように圧倒的なリアリティの中、クライマックスに向かって行く。そして、感動的な最終章へ。

私も遊びに行った、バリやカンボジアなどの風景や人達を想像しながら読んだ。本当に面白かった。友達にも進めたい。
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文庫「重力ピエロ」伊坂幸太郎著

2007-01-01 17:02:12 | 映画・ドラマ・小説・マンガ
この作者の前作の「オーディポンの祈り」が不思議に面白かったので読んで見た。これも物語は起伏を持ちながらも静かに進んで行く。町中のグラフィティアートの落書きと連続放火。誰もが“はっ!”として動きを止めてしまう程の美貌の持ち主の「私」の弟の春。今だかってそんな男性にお目にかかった事がない。死ぬまでに一度でいいから見たい。心ときめくかしら。

その春は特異な出時を持つ。母が連続強姦魔に襲われ生まれた子である。

物語は淡々と進む。末期癌で入院している父親と私は落書きと連続放火事件の犯人を推理して行く。いつからか、二人は犯人は春ではないかと思い始める。そして、その場所は、昔、発生した連続強姦事件のあった所と一致する。

“私”はある男を事故に見せかけて殺そうと、夜その現場予定地を見に行った所で、不思議な島に行って来た男に会う。「オーディポンの祈り」の主人公である。「その島で教えてもらったんですよ。未来は神様の匙加減で決まるものなんだと。もう決まっているので、僕達がでたばたしたところで変わらない」と言う。

末期癌の父が手術の前に春に言う「お前は、俺に隠れて大事な事をやった、そうだろう」と。春は「何もないよ」と自然に笑った。「おまえは嘘をつく時、目をパチパチする。子供の時からそうだ。和泉もそうだ」

そして、兄弟を救済するための台詞を言う。「おまえは、俺に似て、嘘が下手だ」と。

“春が2階から落ちてきた。”この言葉で始まり、この言葉で終わる。結局、重力から逃れられないけど、ふっと、人生の重圧から自由になれる瞬間や言葉や心のふれ合いがある。

そうなのだ。人は決して一人ではない。一人では生きていけない。どんなに辛くても、苦しくても家族がいて、友人がいて、仲間がいる。自分だけで、抱えないでそういう人達を信頼しなくては。

現実世界には嫌な事、残酷なこと、虚しい事が一杯ある。でも、一番大切な事はお互いに無条件で信頼する事なのだと思う。やさしく、相手の心を包みこむ事なんだと思った。


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