東京新旧写真比較(1981/2007) No.10
千代田区霞が関2丁目、桜田門交差点付近から桜田濠・半蔵門方面
Photo 1981(ノーマル時)、Photo 2007.1.28(マウスオン)
現場を訪れて、ちょっと困り、かつ笑ってしまった。手前の植栽の木が成長して大きくなり、同一ポジションから撮影しようとしても邪魔になって遠くが見えない。意外な伏兵というかなんというか・・・。仕方がないので「木がおっきくなっちゃったぁ!」とかなんとか独り言を言いながら、ちょっとだけ脇にずれて撮影。なんだかなぁ。
桜田濠の風景は、想像していたほどには大きくは変化していなかった。もちろん、最高裁判所の後方に建物がちらちら見えるようになったし、半蔵門の方には100mクラスのビルが何棟か建った。一方、左端に見えていた平河町のNHK分室の鉄塔は解体されてなくなっている。しかしやはり、手前に大きな水面があり、撮影ポイントから半蔵門の方までは800m以上あるので、ここからの景色への影響は比較的小さかった。この近辺の空はまだ広い。
すぐそばのお濠端の内堀通りをたくさんの自動車が疾走し、周囲にセカセカした気分をふりまいているのにはややグッタリさせられるが、皇居のまわりをジョギングする人たちは、結構良い風景を楽しみながら走っているのだなぁと思う。
変化が少ないということで言えば、ここからの風景の基本的構造は、幕末・明治の頃からそれほど変わっていないのではないかと思う。もちろん、お堀端に建つ建物は替わっているのだが、最高裁や国立劇場などの建物群は全体に低層だし、お濠が埋め立てられてしまったというわけでもない。皇居周辺でも丸の内や大手町、霞ヶ関のように大きく変貌した街もあるが、三宅坂・桜田濠周辺の変化は比較的小さかった。
右方の吹上御所などは、樹木が鬱蒼として、江戸期よりむしろ自然に帰っているのかもしれない。幕末・明治期の江戸城の写真を本で見たりしたときに、現在の場所が比較的容易に判ることから考えても、皇居一帯は、東京の都心では珍しく風景の変化が少ない場所なのではないかと思う。旧華族などの邸宅跡が軒並み開発されて大きな変化を遂げたなか、極めて特殊な形ではあるが、場所の風景が保全されたというのは、ある意味では微妙な側面をもつのだが、一つの問題提起をしているようにも思う。
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Cityscape of Tokyo 変化していく東京の都市風景
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