昭和の面影を残す校舎も解体され、早稲田でも徐々に再開発が進む。
10号館テラスから 早稲田大学11号館(商学部)
所在地:新宿区西早稲田 1-6
建設年:1938(昭和13)
構造・階数:RC4+屋根裏
設計 :桐山均一
備考 :1951増築、2006解体・建て替え
Photo 2006.1.19
早稲田大学の正門から大隈重信候の銅像へ向かって緩やかに上る坂道の突き当たり右側にあった校舎。
早大西早稲田キャンパス内には、1932年の大学創立50周年を機に記念事業として建設された建物がいくつか残っている。正門~大隈像を軸とした直交座標系に建物が配置されるキャンパスプランもこの頃に完成したもの。11号館も50周年記念事業を機に建設された建物で、当初はコの字型の平面をしていた。
商学部の校舎として使われてきたが、老朽化したことと、研究環境を高機能化するために建て替えが行われることになり、昨年、後方の12号館(RC5・1951完成)とともに解体された。現在、跡地では仮称C棟の建設が進む。このC棟は創立125周年記念事業の一環で建設されるもの。詰まるところ、何十周年とかの記念事業と称して、寄付金を集めて、キャンパスを広げたり建物を建て替えたりしながら今まで来ているわけ。私学っていうのはそういうものなのさ。
10号館テラスから、左:11号館、右:8号館、正面奥:大隈講堂
Photo 2006.1.19
早稲田大学西早稲田キャンパスでは、残す建物と建て替える建物の選別が行われ、大隈講堂や旧図書館などのある正門付近の建物は歴史的景観として残し、そこから離れるに従って、建て替えをして高層化、大型化を進める方針になっている。11号館は正門から見たとき、キャンパスの奥の方にあり、高機能化ゾーンにあたるため、建て替えの運びとなった。昨年完成した8号館は仮称B棟、1998年にできた14号館は仮称A棟と、それぞれ呼ばれていた。一気に建て替えると教室が足りなくなるので、パズルのように順次校舎の建て替えが行われている。
建物が建てられた70年前とは、研究の内容も変わったし、学生の数も増えた。パソコンを使ったりプロジェクターを使ったり、授業のやり方もかなり変わっている。それが良いのか悪いのかは分からないところがあるが、大学間競争のなかで、変わらないわけに行かないのもまた事実。むしろ、よくぞ今まで古い校舎でやりくりしてきたなぁという感じがしないでもない。
14号館から、手前:12号館、中奥:11号館
Photo 2001.12.10
正面ファサード Photo 2006.1.19
ベース部分は御影石、ボディ部分は角柱の付柱が並び、トップ部分は3連のアーチ型窓。中央2階部分に、1階玄関ホール上部の円形の窓が少し見えている。
4Fのディテール Photo 2006.1.19
早稲田大学11号館 その2
Tokyo Lost Architecture
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