「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

      新勝浦市漁協の”絆”と防衛省の”タガ”

2008-02-27 07:26:37 | Weblog
千葉県新勝浦市漁協の”浦じまい”という悲しい儀式をテレビでみた。海難事故の
区切りをつけるための昔からの伝統儀式だという。日蓮宗信徒が唱えるお題目と
打ち鳴らす団扇(うちわ)太鼓の中で、犠牲者が生前好きだった果物やお酒が海
に注がれる。海辺の港町では昔からこのようにして犠牲者を葬ってきたのだろう。

今回のイージス艦と漁船との衝突事故ほど海上自衛隊(防衛省)の対応が見苦しい
ものはない。事故が回避出来なかったのは僕ら素人がみてもわかる。原因は海自
側の規律、防衛省全体のタガの緩みである。”ゴルフ三昧”のあの次官の下で、こ
こまでモラルが低下してしまったのであろうか。

こんな中で救いだったのは、新勝浦漁協の人たちの悲しみの中での”絆”の強さで
あった。仲間の遭難を痛んで連日早朝から救難の舟を出し、岡では女性たちが無
事を祈って団扇太鼓を鳴らす姿は心をうった。

勝浦市は日蓮宗の開祖、日蓮上人生誕の地小湊(鴨川市)に隣接しており、市内に
は日蓮が最初に開基した本山の妙覚寺もある。いわば日蓮宗の”メッカ”ともいえる
土地だが、漁民たちの信仰で結ばれた”絆”に改めて僕は日本伝統の集落の団結
の強さを見てとった。

”限界集落”などというイヤな言葉があるが、幸い勝浦はそうではない。今回の犠牲
父子のように後継者もいる。ぜひ今度の悲劇を乗り越えて”絆”を深めて町の発展
に尽くしていただきたい。