「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

            同じ昭和一けた世代の死に思う

2013-01-17 07:26:00 | Weblog
日本映画のヌーベルバーグといわれた監督の大島渚さんが亡くなられた。昭和7年の早生まれだから80歳。学年にすれば僕より1年下だが、何故か昭和一けたの同世代人とは思えない。昨年12月、僕より学年が1年上の俳優の小沢昭一さんが亡くなった時は同世代の身近さみたいなものを感じたのだが不思議だ。

映画については素人だがウィキぺディアによると、大島監督は日本映画のヌーベルバーグ(新しい波)の一人であったそうだ。昔、彼が監督した映画「戦場のメリークリスマス」を見たことがある。映画の舞台が戦時中のジャワ島(インドネシア)の連合軍捕虜収容所と想定とされていたが、正直いってがっかりした。いくら映画とはいえ旧日本軍下ではありえない話であった。ヌーベルバーグの本家のフランスでは”助監督など下積み経験なしでデビューした若い監督”のことをいうそうだが、この映画をみて、僕は稚拙ともみられる戦場描写をみて、なるほどと思ったのを覚えている。

同じ昭和一けた世代といっても敗戦の年の年齢によって違う感じがする。小沢昭一さんや先年死去されたタレントの前田武彦さんは海兵や予科練などの軍学校を体験されている。僕はその体験はないが、学徒動員で家を離れて軍隊さながらの集団生活をしている。大島渚さんの学年からは動員の経験もない。ノーベル賞作家、大江健三郎さん(昭和10年早生まれ)は、愛媛の田舎の小学生で空襲さえ体験していない。同じ昭和一けた世代といっても戦争に組み込まれた世代とそうでない世代とでは生き方も考え方も違うみたいだ。僕はとても「戦場のメリークリスマス」みたいな形で戦争を描けない。