「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

世界を変え僕の半生を変えた9.30事件から50年

2015-09-30 05:06:22 | 2012・1・1
昭和40年(1965年)9月30日インドネシアで発生したクーデター未遂事件から半世紀である。この事件の真相は50年経っても不明だが、史家の間では二十世紀の世界の歴史を変えた大事件とも評価されている。直接、僕はこの事件の取材はしていないが、ある意味では僕のその後の半生を決定づける事件ともなってしまった。

インドネシアでは、9.30事件をGESTAP(Gerakan Septemer Tiga-pulih=9月30日事件)と呼んでいる。これはナチスの秘密警察、ゲシュタポになぞらえたものといわれる。事件そのものは、共産党系の若手将校が陸軍の8人の将軍を虐殺し政権の奪取を図ったが、のちに大統領になったスハルト戦略軍司令官{少将)によって鎮圧され、クーデタ―は未遂に終わった。

この事件については、当時アジア最大の共産党だったPKI(インドネシア共産党)によるものとか、権力の座にあったスカルノ大統領が画策したものとか、あるいは背後に中国があったのではないかとか、逆に米国のCIAによるのではないかという憶測もある。また事件後軍によって、共産党系住民の虐殺があり30万人が殺されたという話もあるが、いずれも真相は明らかではない。

僕は事件から半年後の41年3月、新聞社の特派員としてジャカルタに赴任、事件の収拾をはかったスハルト将軍のスカルノ大統領の権限移譲措置「スペルスマル」前後のインドネシアの政情を取材している。ジャカルタの町は連日、軍と学生の大規模な街頭デモが展開され、事件に関与があったとされる中国大使館が焼き討ちされるなど騒然としていた。

新聞記者冥利に尽きる1年間であったが、帰国後、僕は系列の民間テレビ局に転勤となり、インドネシアとは無関係の仕事についた。しかし、何故かインドネシアが忘れられず。定年前に退職、本格的に”憑かれる〝ようにインドネシア問題に突っ込んでしまった。考えてみると、9.30事件は僕の半生を変える転機となったわけだ。

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