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宮崎正弘氏からメルマガが届きました。~終着駅が見えないイスラム過激派とのテロ戦争

2014年09月29日 | 政治

終着駅が見えないイスラム過激派とのテロ戦争
  ISIL(イスラム国)の究極の戦争目的は何なのか?

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 イラクの政治的統治はもはや絶望的になった。
オバマ大統領がペンタゴンの反対を押し切っての時期尚早の撤兵は、いずれ後世の歴史家から厳しく批判されることになるだろう。
六月に米国はマリキ前政権を見限った。米国傀儡といわれたマリキ政権はむしろ、イランに接近し、シーア派を重視してスンニ派を弾圧したからだ。スンニ派は不満を高めていた。

 六月にもケリー国務長官がバグダット入りし、同時期にイラク防衛のためにオバマは特殊部隊を送った。
だがイラク政府軍の士気は滅法低く、敗色が濃くなって、あろうことか、北西部油田地帯から逃亡を始める。

ISIL(「イラクとレパントのイスラム圏」)は拠点のシリアから南下し、たちまちのうちにモスル、キルキーク、チクリット、ファルジャなどを軍事静圧した。
このときISILは、米軍から大量に支給されていたイラク軍の武器庫を急襲し、最新兵器多数を奪って武装を強化した。
同時に逼塞していた旧バース党員(サダムフセインの残党)が反政府勢力に加わった。

 外国企業のイラク撤退が開始された。欧米石油エンジニアが油田から去った。
どこにでもいる中国企業とて比較的安全と云われたイラク南部の油田から石油エンジニアの引き上げを開始した。
間隙を縫ってISILは盗んで油田から石油生産を続行し、廉価で原油の密輸出を始めた。

 イランは精鋭の「革命防衛隊」をイラクへ派遣すると言いだし、バグダット政権は志願兵をカネで集めた。
しかし志願兵はプロの軍人でもなく、訓練不足。そのうえ武器不足である。
 ISIS(イラク・レパントのイスラム圏)はシリアに投入していた外人部隊をイラクへ転戦させ、大攻勢をかける構えを崩さなかった。
バグダット侵攻が目前だった。

クルドならびにヤジド族への血の弾圧、粛正が始まり、捕虜とした女性を性奴隷に、男達はつぎつぎと虐殺した。

13万人ほどがトルコへ逃げた。

かれらは正統カリフ国家を僭称し、イスラム法を勝手に解釈して、敵と思われる勢力、宗派の抹殺をはかる。キリスト教徒への迫害も凄まじい。

ついには米英のジャーナリストを処刑し、その残忍な場面をネットに流した。このため欧米は激怒、オバマ政権は空爆を決める。

欧米の世論が一夜にして変わったのは、このジャーナリスト処刑である。

つまり、欧米キリスト教世界に、かれらは残忍さを見せつけ、喧嘩をうった。
どのような勝算があるのか、一説に欧米を巻き込んで中東を流血の巷と化かし、毛沢東の展開した持久戦にもちこむ戦略の行使とみることができる。


▼F22ラプター、シリアのISIS拠点攻撃に初登場

シリア領内にあるISILはこの頃から単にIS(「イスラム国」)と呼ばれるようになり、外国人傭兵多数が加わっていることが判明した。CIAは多くみつもって三万人のメンバーと推測していることが分かった。

9月22日、イラクのみならずシリアへ米国主導の空爆が行われ、「テロリストの本部、軍事訓練場、武器庫、食糧倉庫、財務本部、宿舎などを空爆とミサイルで破壊した」(米中央軍発表)。空爆はF22,B1、F16,F18のそれぞれ爆撃機が勢揃いした。
また洋上から多数のトマホークミサイルが発射された。

オバマ大統領の決断は9月10日だった。空爆の実現までに随分と時間が必要だったのは周辺国の同意、賛意、あるいはこの空爆への協力である。米国の発表に従えば、空爆にはサウジアラビア、ヨルダン、カタール、バーレン、UAE(アラブ首長国連邦)が加わり、シリアのアサド政権には事前に通告したと一部メディアがつたえた。
アサドにとっては干天の慈雨のごとき、朗報である。

「中東の異端児」といわれるカタールが有志連合に加わったのは意外だった。
カタールはアルジャジーラの拠点でもあり、産油国で唯一リベラル政策を掲げるため周辺国と対立してきたのである。


▼イランとトルコの反応

一方でイランからの敵対的な声明もなく、シリア政府は沈黙を続けたままである。
トルコは首相が記者会見したものの、米国とアラブ諸国との協調にはノーコメント、まだトルコ政府そのものは態度を鮮明にしなかった。

トルコにはすでに百万人に及ぼうとするシリアからの難民と、国境にはイラクとの境界線も曖昧なゲリラ地区を抱えており、次の対策の方向性が見えていない。
オスマン・トルコ帝国の復活の夢は遠のいた。

ともかく空爆は、これからの永い対テロ戦争の「はじまり」でしかなく、近未来にかけてISILとの戦闘は長期化する畏れがある。
米国は地上部隊をいつ導入するかという議論になる可能性が高い。オバマは国連で支持を広げ、国際社会の理解を得たい姿勢にある。
意外にロシアも中国も現在沈黙を守っている。
かわりに豪、フランス、ベルギー、北欧諸国が空爆への参加、すくなくとも武器供与を申し出た。

 イラクの構造を複雑に図式化してみせたのはTIME(14年6月30日号)だった。それによれば次のような複雑な背後関係がある。

 第一に米国とイランは対立するのにイラク政府防衛では利害が一致している。

 第二にシリアのアサドを支持しているのはイランとイラクとシーア派の武装組織であり、そのイランを封じ込めているのが米国と湾岸諸国という錯綜した構図がある。

 第三にアサド政権を守ろうというのは湾岸諸国とスンニ派武装組織。
シリアに協調的なのがトルコとクルド族で、これら複雑にして輻輳した利害関係が絡み合いながらもISISを駆逐するために共同戦線を張ろうとしているのが米国、イラン、イラク政府とクルドという「野合」の状況が生まれた。

 アルカィーダから分派して結成されたのが、このISIL(イスラム国)だが、ほかにアルカィーダ直系とみなされる「ホラサン」が注目をあつめる。
ホラサンは特殊爆弾をつかう個人テロが得意であり、残虐さにおいてイスラム国に引けを取らない。
そして、このテロリスト集団は、世界各地に戦士を補充するリクルート作戦に乗り出したのである。

 
▼インドのハイテクシティ「ハイダラバード」からも「イスラム国」に

習近平(中国国家主席)がインドを訪問し、モディ首相と会談した。総計2兆円にものぼる新規投資をぶち挙げ、「本当か?」と首をかしげた読者も多いだろう。
これは表層のイベントであり、習近平がインドに持ちかけた主題は、じつのところ、SCO(上海協力機構)への正式メンバーの要請だった。

中国は「テロの戦い」を宣言した欧米の姿勢をむしろ評価し、「テロ対策に二重基準はあってはならない」(たとえば王毅外相の国連演説、9月27日)などとして、新彊ウィグル自治区での独立運動家弾圧を「テロリスト」対策と偽って正当化しようとしているのだ

さて問題はインドのハイテクシティにおける異変である。

シリアとイラク北東に盤踞する過激派「イスラム国」(ISIS)は、いまや2万から3万のメンバーで、このうち6000名から7000名が外人部隊。それも西欧の白人が戦闘員に混ざり、気勢を挙げている。

「イスラム国」は世界各国にリクルート部隊を派遣し、若者を洗脳し、兵隊要員として次々と雇用しているが、警備当局は警戒を強め、先頃もインドネシアで四名、豪で15名を拘束した。
インドにもイスラム国に魔手が延びていたのだ。
インドが衝撃を受けたのは、イスラム教の狂信者は措くにしても、ハイダラバードから、若者が十数名、イスラム国にリクルートされ、出国寸前だったことだ。

ハイダラバードは「インドのシリコンバレー」といわれるバンガロールと並び、IT,コンピュータ、ソフトなどを開発する先端技術が集約した工業都市、技術大学も林立するうえ、たとえばマイクロソフトのCEOにビルゲーツから指名されたのは、このハイダラバード出身のインド人だった。

インドが恐れるのは、こうした理工系の優秀な若者が、しかもヒンズーの強い町で、なぜかくも簡単に敵対宗教の過激派の武装要員にリクルートされてしまうのか、という恐るべき現実なのである。
かつて日本の某新興カルトにあつまったのも理工系、化学などの専門知識をもった若者であり、その洗脳が深ければ深いほど狂信的ドグマから抜け出すのは容易ではない。


 ▼パキスタンにも異変

 パキスタンのムスリムの精神的指導者アジス師が最近、「『イスラム国』を支持する」と発表した。
これは衝撃的な事件である。
 ISIL(イスラム国)は、イラクがかたづけば、次の攻撃目標は中国である、と聖戦の継続と拡大を宣言しており、この動きに神経をとがらせる北京はアジス師の動向監視をパキスタン政府に要請した。

 ホラサンは、中国ばかりか世界を相手にテロ戦争をつづけると言っている。

 2014年8月23日、中国は昨秋の北京天安門炎上テロ事件の関係者、八名をテロリストとして処刑した。全員がウィグル人だった。
同日、湖南省南部にあるカルト集団「全能神」本部を手入れし、信者千名を「カルトの狂信者」だとして、拘束したことも発表した。
ISILはすでに中国に触手を伸ばしておりウィグル人のイスラム教徒過激派多数が軍事訓練に参加している。
ISILにはウィグル人多数が加盟しているとされる。

北京にとってはやっかいな問題が再浮上した。

 ISILは当初「イラクとレパントのイスラム圏」と訳されていたが、最近のマスコミは、このテロ組織を「イスラム過激派」とか「イスラム国」という訳語を当てている。
7月に記者会見したISIL指導者は15分にわたる演説で「ISILは北アフリカからスペイン、東は中央アジア、パキスタン、アフガニスタン、インド。そして最終最大の目標は中国である」と述べた。

 こうなるとレパント(地中海沿岸)の範囲を超える。
 華字紙の「多維新聞網」(8月16日)は、このイスラム過激派の膨張目的を「危険の弧」と命名した。
事実、アフガニスタンのアルカィーダ秘密基地で軍事訓練を受けていたウィグル人は、1000名とされ、米軍の攻撃でグアンタナム基地に数十人が拘束され、うち何人かはアルカィーダと無関係とわかってアルバニア、ポリネシア諸国が身柄を引き取った。中国は執拗に身柄の引き渡しを要求している。
 

▼そしてクルド族の独立が射程に入った
 
 周辺国にあって大国はトルコである。「オスマン・トルコ帝国」の復活を目指すかのようなエルドアンは「(自らの大統領選の)勝敗の決め手はクルド族との和解にあり、クルドの支持を得られるだろう」とした。

 エルドアン・トルコ大統領は「クルド族が『独立』の住民投票を行うことに反対しない」と従来の政策を転換した。
 こうした動きを背景にしてクルド自治区のマスード・バルザニ(自治政府議長)が記者会見し、「数ヶ月以内に住民投票を実施して独立を問う」と豪語した。

 かくて中東は大混乱、空爆を奇貨とするのはクルド族にみならず、イスラエルとシリアのアサド政権が欧米のシリア空爆に裨益したように、クルド独立には、こんなチャンスは二度とないだろう。
 バルザニは、「もちろん選挙管理委員会を組織化することから着手するので実際の投票実施までに数ヶ月の時間を要するが」と日程を明示することは避けた。

 もっとややこしいのは、クルド独立をイスラエルが賛成していることだ。
 クルドの独立を脅威視してきたイラクは「独立をめぐる住民投票は地域の不安定化につながるうえ、トルコ国内も不安定となる要素が大きく、究極的にはイスラエルを利するだけだ」と強く非難するが、国際世論もクルド独立に同調的である。
 クルド族は推定人口1500万人。イラク、トルコ、イランの山岳地帯に住んでいるが、ながらくこれら三国が反対してきたため、独立は叶わなかった。

 アラブ人と人種が完全に異なるゆえに自治区を形成してきたが、突如、ISISの跳梁跋扈でイラクが無政府状態となるや、クルドは電光石火の作戦でバイハッサンとキルクークの二つの油田を制圧した。両方で日量40万バーレルの石油が生産され、独立した場合の歳入が確保される。
 
ところで「中東の暴れん坊」だったイランとて、西側の政策が長引いて、宗教革命とかいう全体主義の体制は、第二世代に移行した。

まさに中国の太子党に酷似する。だから中国の奥の院で「共青団」vs「太子党」の権力闘争があるようにイランでもいま、おなじ対立が先鋭化している。
しかし、近代化を急いだパーレビを打倒したイスラム革命の背後には欧米の工作があり、フランスはホメイニ師を匿っていた。

イスラム革命が成功すると、旧権力者と軍幹部を根こそぎ処刑し、宗教警察という秘密警察を敷いて国民を監視し、身動きのできない全体主義国家に陥れ、あげくに彼らは暴走して米国大使館を占拠した。のちに大統領となるアハマドネジャットは、当時、その暴走組の一人だったという。
イランが暴れては困るし、過激派の跳梁跋扈はおっかない。だからサウジなど王政の産油国は恐怖のあまり、米国の兵器にたよる。

大きく歴史の展望を広げて植民地時代の原理原則を振り返れば、アジア各地で英国が何をしたか?

ミャンマー国王夫妻をインドへ強制移住させ、王女はインド兵にあたえ、王子たちは処刑した。旧ビルマから王制は消えた。そのうえでムスリム(イスラム教徒)を60万人、ミャンマーへ移住させて、仏教のくにと対立するイスラムを入れ、北部のマンダレーには大量の華僑をいれ、少数民族を山からおろしてキリスト教徒に回収させ、要するに民族対立を常態化させて植民地支配を円滑化したのだ。

ベトナムでフランスが同じ事をやり、インドネシアでオランダがそれを真似、インドにも英国は民族の永続的対立の種をまいた。
つまり言語と宗教の対立をさらに根深いものとして意図的に残し、あるいは強化し、インド支配を永続化させようと狙った。
インドの紙幣には十五もの言語の表現があり、統一のインド語のかわりに英語が共通語となった。

アルカイィーダというテロリストのお化けはなぜ生まれ、その亜流がもっと過激なテロ活動を続けているのか?
冷戦時代のソ連のアフガニスタン侵攻で、ムジャヒデンという武装ゲリラの武器援助を続けたのは欧米、とくに米国だった。
パキスタンを経由してステンガー・ミサイルなどの高度な武器が供与され、結果、ソ連の武装ヘリは追撃された。

やがてソ連軍は去り、かわってアフガニスタンを支配していたタリバンは、アルカィーダの秘密軍事基地を提供し、テロリストが世界に輸出された。

タンザニアなどの米大使館がかれらに攻撃を受け、クリントン時代の米国はアフガニスタンのタリバン基地に50発のトマホークミサイルをお見舞いした。かれらはしかし生き残り2001年9月11日、NY貿易センタービルを破壊した。

この結果、ブッシュ・ジュニア時代に『対テロ戦争』が開始され、イラクへ、アフガニスタンへ大量の兵士と武器が送られた。
政権がオバマになるや、イラクから撤退し、アフガニスタンからも逃げる準備ができた。
こうした状況に過激派アルカイィーダは世界の主要拠点を築いて外国人戦闘員も養成し、そのアルカィーダ残党から分派してできたのが『イスラム国』(もとはISIL<イラクとレパントノイスラム圏>と名乗った)である。

かれらは混乱するシリアに拠点を構築し、銀行強盗、誘拐身代金強奪など残虐さと荒っぽさでたちまちにして肥大化した。フランケンシュタインのようなイスラム過激派のお化けを産んだのは、結局のところ、英国などの植民地支配の残滓、米国の無邪気ともいえる介入と無惨な敗退ではないか。

しかし、もっと大局的な文明観にたてば、欧米はキリスト教文明圏であり、イスラム文明圏が結束して対抗する勢力となることを警戒するのだ。
したがってシリアなども、イラクがそうであったように欧米が軍事介入すればするほどに紛争が悪質化するのだが、イスラム全体がまとまらず、恒常的に内訌と紛争を繰り返せば、それは欧米に裨益するからではないのか。

だからこそNATOの一員ではあってもEUからはじかれるイスラム世俗国家のトルコは産油国が加わっての「有志連合」の空爆には関与せず、シーア派のイランは形式的に空爆を非難した。
チェチェンなどイスラム過激派との内戦に痛い目にあっているロシアは当初静観し、中国も知らぬが仏という態度だったが、裏面では紛争地域にも鵺的に武器供与を続けて死の商人ぶりを発揮している。

「イスラム国」にとって米国はサターンだが、チェチェンを弾圧したロシアも敵であり、またイスラム同胞を弾圧し続ける中国の新彊ウィグル自治区のムスリムには深い同情を抱いており、いずれ彼らは攻撃目標に中国を加えるであろう。

 かくして世界的規模の戦争がおこる蓋然性は高まった。石油価格は高騰しつづけ、産油国もまた欧米側に付かざるを得なくなった。
    
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(休刊予告)小誌は海外取材のため10月2日から7日が休刊となります。
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)貴著『台湾烈烈』(ビジネス社)を第一章まで読んだところですが、宮崎さんの40年を超える台湾とのお付き合いから見えてくるものはさすがに透徹した分析と思いました。第二章以下が楽しみです。

ところで9月28日の日経の文化面に『等伯』で直木賞を受賞した安部龍太郎氏が中国を訪問したエッセイが出ていました。
今度は遣唐使をテーマにした小説を書くのでしょうか。しかしあのエッセイを読んでいて、大丈夫かなと危うくなりました。周恩来や郭沫若を本当に真面目に親日派だと思っているようですから。この調子では、いつもの日中友好の退屈な歴史小説しか書けないのではないかと思います。
彼は福岡県八女郡黒木町出身です。同じ黒木町出身には有名な女優、黒木瞳がおります。彼がまだ無名の頃から図書館に勤めながら歴史小説を書いている八女出身の小説家がいるとは聞いていました。直木賞を取った時は、黒木町で盛大なお祝いがあったそうです。彼も故郷に錦を飾ったわけですが。
ですから八女を舞台にした南北朝の歴史小説を書いて欲しいと考えていましたが、今日のエッセイを読んで首をひねりました。
  (HT生、東京都)


(宮崎正弘のコメント)八女はお茶の名産地。ほりえもんも八女出身。五木寛之も、その近くでしょう。
さて安部氏が書いた『等伯』は傑作だと思います。狩野派と対立し、独自の画風を開いた天才画家、しかも石川県出身ですので等伯と小生とは同じ郷里。長谷川等伯の展覧会が出光美術館にきたときはすぐに見に行ったほどでした。
日経新聞にでた当該随筆、小生も読みましたが、「ん?」。なんでいまごろ日中友好協会の招待旅行にのこのこと付いていったのか、不思議に思いました。
『退屈な小説』と云えば、日経夕刊の火坂雅志氏の『徳川家康』。通説にしたがってのありふれた歴史叙述で、いささか失望中です。


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(休刊予告)小誌は海外取材のため10月2日から7日が休刊となります。

★ 宮崎先生のメルマガを読んだが、大変難しい状況になったことはよくわかるが、地図を片手に・・・ああ、難しい。
  インドの理工系のインテリたちがイスラムテロ勢力に加担とは恐ろしい。
  はやく解決を望むが、世界は大混乱だ。ここまで説明してくださって、宮崎先生ありがとうございます。



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【今村洋史】カタストロフィーに向かう三要素と日本が存立するための三要素[桜H26/8/29]

2014年09月29日 | 政治
 
【今村洋史】カタストロフィーに向かう三要素と日本が存立するための三要素[桜H26/8/29]


<次世代の党の議員、今村議員のお話。>

世界を覆う閉塞感、人類の破滅に向かう不安、
日本は広島・長崎と原爆を受け、それはジェノサイトであった。

人類の人口が爆発的に増え、食料や資源の争奪が起き、環境破壊が重なる。
食料は環境が破壊されればその増産は難しい。
自著「TPPの罠」ではプラントによる食糧増産を書いた。

新自由主義という一種のアナーキズム、国境をすべてなくし人類が富める者と富まざる者ができ、一方が一方を支配する。
これをそのまま放置はできない。

その新自由主義に対抗することは「保守思想」があいまいになっているので「日本主義」で頑張る必要がある。

新自由主義では国家は存続しない。

★ これから期待の今村議員、医師でもあります。
このお話は大変重要と思い、また今村議員におおいに期待しています。具体的な方策をお伺いしたいと思います。


気になるので前回の動画を探した。

【今村洋史】中選挙区制の復活、プレデターネイションに喰い殺されないために[桜H26/7/10]

プレデターネーションとは?
獰猛で何かをとらえて殺す、捕食する国家、これは自国民をも食いつぶす、
そして近隣の国を支配し略奪していくという国家、それが米中である。

アメリカは民主党・共和党の2大政党がある。
政権交代可能な2大政党と表面上はそう見えるが、その2つの政党は基本的な考え方にはほとんどズレがない。
新自由主義は弱肉強食の世界、競争の世界である。

ブッシュは日本で演説したときに日本語で「競争」といったほどである。
小泉政権・民主党政権・また安倍政権においても新自由主義を主張する人間がいる。

アメリカの数パーセントがそのほとんどの資産を食いつぶし、貧困者が増えた。
文盲も増えてきた。

中国もある意味、プレデターネーションの国家である。
自国民を食いつぶしてきた。
中国の飢えと渇き、水は世界平均の4分の1しかない。
砂漠化が進み、資源を求めている。海洋資源を求め南方に進出しようとしている。

日本は中国が領土的野心と思っているが、中国が思っているのは資源である。
中国に理性的な行動を求めるように我々が力を保たねばならない。

小選挙区になって国家を語れない政治家が増えた。
きちんと国家を語れる政治家が必要。
中選挙区の復活を求め、国家を語れる政治家が必要。
など・・・興味深い話。

【動画に寄せられたコメントより】

・ぐうの音も出ない。全力で応援させていただきます。

・先生の御本は拝読させて頂いておりませぬし、これまでのご発信も調べておらず、この動画でのご発信だけを捉えて、感想を書かせて頂きます。

・中野剛志先生や、三橋貴明先生、柴山桂太先生の様な、レトリシャンになって頂きたいと存じます。
先生がお考えの事には賛同致します。
が、新自由主義は、衆愚政治との親和性が高いと感じております。
故に「保守派」(・・・親米保守?何ソレ?)は、理論武装は当たり前として、レトリックも使いこなして相手の心に響く言論を展開しないと、我々大衆を納得させるのは難しく、論戦で新自由主義者達を駆逐する事は尚難しいと感じます。

・地方議員と国会議員のあり方を、根本的に考えた選挙制度が考えられなければならないのに、区割りによる1票の格差が違憲だとか、小選挙区・中選挙区・全国区などという区割り定数に関心が高まっている事が問題だ。国会議員は天下国家100年の計を持って、あるべき日本の姿を語り、地方議員は地域住民の福利厚生と地域の活性化のためのビジョンを語れなければ共に存在意義はない。この根底からの議論が必要ではないか。


★ お知らせ・・・平沼赳夫(次世代の党党首)国会質疑のお知らせ

■平沼赳夫 次世代の党 党首 代表質問のご案内

日時:平成26年10月1日(水)15:00~15:25

概要:衆議院本会議
   安倍首相所信表明演説に対する代表質問
質問者:平沼赳夫 党首
備考:本会議の進行により、時間が前後する場合があります。







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宮崎正弘氏からメルマガが届きました。~「香港」10月1日から抗議の座り込み ・ 新しい世代の台湾

2014年09月29日 | 政治

香港の未来は「真っ暗」なのか? 反北京の学生・知識人が中環に座り込み
  13000名の学生が授業ボイコット、10月1日から本格的な行動開始

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 香港のセントラル(中環)は金融街である。
 しかも国際的な取引が成立する、世界で有力な市場をかかえ、この金融中枢が麻痺すると、香港ばかりか直接的に中国経済に悪影響が出る。

 セントラルには香港を代表する「香港上海銀行」本店、隣は中国銀行の摩天楼、近くに証券取引所。まわりは外資系金融機関が軒並み入居する複合ビルとマンダリン・ホテル、最高級のリッツ・カールトン、やや高台がシャングリラ・ホテルにマリオット・ホテルなど五つ星ホテル群が屹立している。

 10月1日、このセントラル地区に学生、労働者、知識人らが「選挙の民主化」を求めて座り込みを開始する。
9月下旬からすでに「前哨戦」としての座り込み抗議行動が始まり、警官隊が暴力的に排除、暴力沙汰が続いており、多数の負傷者がでている。
高校生リーダーを含む74名が警官隊に拘束されている。高校や大学では13000名が授業ボイコットという史上まれな行動を取っている。


 座り込みによる抗議行動は、ウォール街を占拠し「われわれは99%」というプラカードを掲げてウォール街を操る強欲資本主義に対抗した一軍の貧困層の動きは、米国ばかりか世界のメディアが注目したように、引き続き2014年3月には台湾に飛び火して学生らが国会を占拠した。
 国会が機能麻痺に陥ったのは前代見本である。

 この台湾の「ひまわり学生運動」には全島から熱狂的な支持者が駆けつけ、大学の教授陣らは署名を集めて連帯を表明し、李登輝も応援に駆けつけた。支援グループのテント村には炊き出し手チームや医療班。弁当やパンが山積みとなり、はては翻訳班が15ヶ国語に学生らの主張を翻訳、メール送信したため世界中からも多くのメディアが台北に集まって、学生の主張を報道した。

とうとう国民党は譲歩せざるを得なくなり、馬英九政権は窮地に立たされた(詳細は拙著『台湾烈々』、ビジネス社を参照)。

 上記二つの成功例にならって、香港の民主団体が大同団結、セントラル地区に座り込む統一抗議行動を組織化することを決定した。

この抗議行動に香港住民の31%が支持しているという(『華風新聞』、14年9月26日号)。
「中国共産党の代理人」「秘密党員」を云われる梁震英・行政長官のあまりの北京より路線に対して民衆の怒りが爆発したのだ。
 

 ▼米国、カナダで移民制限に加え、孔子学院閉鎖の動き

 しかし他方で、世論調査によれば、将来の香港に見切りを付けて海外移住を希望する香港住民は、全体の五分の一もいることが分かった。
 英国BBCと香港中文大学の合同調査によれば、21%の香港住民が海外移住を考慮していると答えた。
過去97年香港返還前、すでに富裕層と知識層は香港を離れたが、近年もカナダ、豪州、ニュージーランドへの移民熱が沈静化していなかった。

 この余波で反中国感情が蔓延するカナダは移民制限に踏み切り、またトロントなどでは中国政府支援の「孔子学院」の閉校が検討されている。

9月27日には米国シカゴ大学で語学以外に共産党の指定した怪しげな教科書が使われ、天安門事件を教えるなという内部通達が出たりして『学問と言論の自由をおびやかす』として教授連が署名運動を立ち上げ、ついに閉校が決まった。       
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(休刊予告)小誌は海外取材のため10月2日から7日が休刊となります。
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 ◆書評 ◇しょひょう ▼ブックレビュー ◎BOOKREVIEW◆ 
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 どうしてNHKは非国民的に偏向した番組を放送するのだろう
  視聴率最低だった平清盛は「日王」と天皇を侮辱し、台湾を侮蔑する番組だった

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西村幸祐『NHK亡国論』(KKベストセラーズ)
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 NHKはサブリミナル効果などを駆使して映像操作という朝日新聞なみの情報操作がすごい報道機関。別名「反日放送局」と蔑称されるのだが、この放送局は公共放送といいつつも、日本の国益を無視して中国のために放送番組を造っているのではないか。
そうした疑念が急速に国民に広がって、不払い運動が起きている。
 なにしろNHKは公共放送である。偏向番組をつくりたければ、さっさと民営化すれば良いのだ。
著者の西村幸祐氏はNHKの番組によっての酷い偏向ぶりを長年にわたって精査してきた。
 というのもNHKのなかにCCTV(中国中央電視台)があり、中国共産党員らしき職員がNHKにフリーパスで出入りしているにもかかわらず、部内で誰も反対しないのか。
「憲法違反」(168p)の代金を徴収しておきながら反日番組を造るのは北京の指令なのか、明らかにする必要があるだろう。
 国会で三宅博議員は(NHKに巣くう中国人)「二十二人のなかには、ひょっとしたら中国の密命を帯びた工作員もいるのではないか」と質問し、「NHKは公共放送だとおっしゃいますが、観ていると、これは中共放送ではないかとよく思う」と発言した。(154p)

 NHKは大河ドラマで『日王』という聞き慣れない語彙を使って強い抗議をうけた。
 「つまり『平清盛』はシナ中心の世界観に支配されており皇室を貶め」たのである。
 台湾特集番組では聞いたことのない「日台戦争」というタームをつかった。台湾の取材協力者の談話を出鱈目にねじまげてつかったため、台湾からも抗議団が殺到した。こうした左翼史観に基づくドラマは、『最低視聴率』となった。
 朝日新聞は偽造報道をしてきたことを認め、形だけの謝罪をして見せたが、国民は騙されず、究極的には「廃刊」を要求している。
NHKもとんでもない偽造番組をでっち上げ、ついに良識ある国民が立ち上がってNHK集団訴訟が提訴された。
朝日新聞を糾弾する国民集会は10月25日に開催されるが、そのご、集団訴訟に踏み切ると云われている。
NHKも朝日新聞同様にその最後の日々が近づいてきたのではないか。本書を読んだあとの率直な感想である。
   
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)「朝日新聞を糺す国民会議」の全容です。皆さんのご支援をお願いします。
http://www.asahi-tadasukai.jp/

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(読者の声2)「日本ウイグル協会」の声明文です。「中国当局の無期懲役判決に抗議し、イリハム・トフティ氏の即時釈放を求める声明文」
http://uyghur-j.org/japan/2014/09/20140926_ilham_tohti_jua/(三浦生)



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(読者の声3)御新著『台湾烈々―― 世界一の親日国家がヤバイ』(ビジネス社)を感銘深く読了しました。それにしても「中華思想」は一種の全体主義ですね。これを古来からの日本の中国学者たちが理解できていない。
大陸から台湾へ逃げ込んだ国民党外省人は、台湾への愛がまったくない。蒋介石が死ねば、国を売る行為にでる。自分が蒋介石を裏切っていることが認識できていない。
北京政府のいう中華が当然だと思い、それが「普遍性」だと支持することが自分で自分の首を絞めている結果になることが分からないのです。
 だからこのような中華思想の蔓延というシナ独特の特殊構造を日本人は到底理解できない。
戦後のシナ学も明治開国以後のそれも、いや江戸時代からシナ学はまったく理解していない。
舜堯の国とはじつは全体主義の国家だった。漢籍の有毒のミツのミツだけをなめて、毒が含まれている事を知らずにいたと言えるかも知れません。
   (UK生、愛知県)

(宮崎正弘のコメント)じつは昨夜、つぎの台北市長に立候補する反国民党の何哲文氏を囲む会が東京で開催され、数百名が参加しました。
国会議員も数名が駆けつけ、盛り上がったのですが、講演を聴いていて、反国民党ではあるが、親日家ではない、という新しい世代の特徴がでていました。まさに拙著題名のように台湾烈々、です。


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(読者の声4)貴書新刊『台湾烈々』を拝読しました。おりから李登輝元台湾総統が来日されており、新聞報道をみながら、読み進めました。老生にも、台湾に友人が多く、最近の馬英九一派の台湾の支那への売り渡し策動に心配していたところです。
それにしても内容は逐一賛成、台湾独立の火が消えていない現実に多少安心もしました。
(SG生、横浜)


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(読者の声5)貴書新刊の『中国・韓国を本気で見捨て始めた世界』(徳間書店)を拝読し、満腔の賛意です。
仕事柄、私も世界各地を出張しておりますが、まさに米国ばかりか、ロシア、ウクライナ、東欧諸国でも中国人は本当に嫌われています。
韓国人は軽蔑の対象でしかなく、国連の韓国人事務総長にいたっては「ポストを金で買った」と、相手にされていないのが実情です。
貴書のなかにモンゴルで中国人とみたら殴られるほどの雰囲気だったとかで日本人団体は日の丸のワッペンをつけていたそうですが、これも東欧諸国では同じ。中国人があまりに多くて、日本人が中国人と間違えられ厭な思いをする人が夥しいようです。
  (YH生、横浜)


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(読者の声6)御新刊『中国・韓国を本気で見捨て始めた世界』(徳間書店)を拝読しました。本屋でも目立つところに措かれていて、売れているようで慶賀に堪えません。
ともかく面白かった。いろいろな国の様子が俯瞰できました。情報の宝庫に感謝です。
(EK生、東京都)


(宮崎正弘のコメント)モスクワの五つ星ホテルで、小生夫妻がエレベータに乗り込もうとすると、フロア・マネジャーが微笑して、「ニーハオ」という。
「わたしらはヤポンスキーです」と抗議口調でいうと、「すみません」と日本語でかえしてきたことがありました。
      
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(休刊予告)小誌は海外取材のため10月2日から7日が休刊となります。

★ 香港の抗議活動、ついに来るべきものが来た、と思います。香港は独立したいでしょうね。
台湾「新しい世代」について、今までのような「親日家」ではない、日本は台湾に対し、誠意ある態度をとっていない民主党政権の時があり、
それも痛いですね。



コメント (2)
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