★ イラクのフセイン大統領が「私はナブコドノゾルだ」と言ったのを新聞で読んだことがある。
ナブコドノゾルというのは古代バビロニアの覇王、ナブッコのことである。
この場面はユダ王国を占領するナブッコ、そしてその娘である女戦士のアビガイッレ、
(後に自分は奴隷に産ませた娘であることを知って父王ナブッコを捕え、王位を簒奪しようとするのだったが・・・。)
ユダ王国側の嘆きと恐怖、そしてやがてユダ王国の民衆はあの有名な「バビロン捕囚」に苦しむことになる。
勇ましいアビガイッレを歌うのは「マリア・カラスの再来」と讃えられたギリシャのソプラノ、エレナ・スリオティスである。この録音時の1965年、わずか22歳であった。
彼女は重くてエキサイティングな役柄をあまりにも若い頃に歌って、喉を痛めて30歳で引退を余儀なくされたが、
この声は間違いなく「偉大な声」であった。今となっては「伝説のソプラノ」である。
「美しい声」は声楽家は最低限持っているが、「偉大な声」は稀有であり「場を制する」声でもある。
ナブッコを歌うバリトンのティト・ゴッビはもちろん「偉大な声」であり、20世紀有数の名バリトンであった。
Tito Gobbi & Ensemble "Tremin gl`insani" Nabucco
Tito Gobbi & Ensemble
sing "Tremin gl`insani" from Nabucco by Giuseppe Verdi
Elena Souliotis (Abigaille)
Dora Carral (Fenena)
Carlo Cava (Zaccaria)
Bruno Prevedi (Ismaele)
Lamberto Gardelli, conductor
1965