★ イタリアのヴェルディ生誕の町の小さなレストランに入った時、アップライトのピアノがあった。
そこへ入ってきた客の若者がヴェルディの「おお、パレルモ」を歌うではないか。
私はそのピアノでいきなり伴奏をしてしまった・・・驚くイタリア人、私はこの曲が大好きで楽譜はないけれど聴いて覚えていた。
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ヴェルディ『シチリアの夕べの祈り』より~プローチダのアリア「おお、汝、パレルモ」
パートリア(祖国)という言葉が何度も出てきます。
やはり1950年代のチェーザレ・シエピは最高。
Cesare Siepi- Vespri- O tu Palermo!
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Callas at Juilliard 17 -- Verdi: "O tu, Palermo" (I vespri siciliani)
★ ジュリアード音楽院の公開レッスンで、マリア・カラスは学生にこのように説明した。
「このオペラの主役、プローチダという人物は偉大な歴史的な存在です。
そしてこの場面で今、彼は祖国シチリアに戻ってきて長年のフランスの支配から解放しようとしています。
プローチダはシチリアの頂点に立つ人物でもあり、歌にも高貴さを理解し感じとらねばならないのです。
『シチリアよ、立ちあがれ、お前はもう十分に苦しんできた、かつての輝きを取り戻すのだ』と歌う時はあなたの表情にもそれがあらわれるべきです。
終わりの方のla vittoria 【勝利】と歌うところはトランペットのような強靭さが必要です。」
★ 私の感想では、この曲の重要な歌詞であるSu, sorgete a vittoria, all’onor! (勝利に立ちあがれ、名誉をかけて)のsorgeteのところ(3分40秒から)、ヴェルディの最もヴェルディらしい「息の保持との戦い」で歌い上げなければならない。
そのあとの高音は素晴らしいし二度目に歌ったときはそれほど気にならないのだが。カラスはその後(23分20秒ごろ)splendorを強調して教えているのが効果的。
ヴェルディの強靭なフレージングは難しい、それ以外は音楽的な構成はしっかりしていると感じた。