もうこちらに来て丸3年になりますが、初めて年末の第九なるものを聴きに行きました。イギリスでは年末にベートーベンの第9交響曲を演奏する慣習は全くないのですが、今年はたまたまプログラムの都合上、うまく当たったようです。LSOとジョン・エリオット・ガーディナーによる第9は2010年2月に聴いています(こちら→)が、プログラムはその時と全く同じで、交響曲1番との組み合わせ。しかも、合唱のモンでヴェルディ合唱団も同じで、独唱者もテノールを除いては同じというデジャブ・コンサートです。
背が高く、難しそうな顔をしたガーディナーは、威圧感というか威厳たっぷりで、つたが絡まる歴史的な建物に囲まれた大学の研究室で、文献を読み込んでいる姿がぴったりです。なので、私は勝手ながら「教授」と呼んでいます。
冒頭の交響曲第一番。音の強弱が明確でメリハリの効いた小気味のよい演奏でした。ティンパニーのアクセントが良く効いていて、気持ちの良い演奏です。
休憩後の第9。前回はその快速演奏に肝を抜かれましたが、今回もスピードは健在でした。凄いスピードで畳み掛けるような勢いで音楽が進んでいきます。第1、第2楽章はそのスピード感が、リズムと勢いを作っています気がします。ピリオド奏法による演奏は、無駄な虚飾がなく、筋肉質な印象です。
そして、最終楽章も早いペースの筋肉演奏は続いたのですが、ちょっと残念だったのは、独唱者と合唱。独唱者はオーケストラの後方、合唱の前に位置していて、あくまでも合唱の一部という位置付けなのでしょうが、今回は存在感を殆ど感じませんでした。また、合唱も、教授自らが1964年に結成したモンテヴェルディ合唱団で、前回の第9に加えて昨年夏のプロムスでも素晴らしい合唱を聞いているのですが、今回のパフォーマンスはもう一つ。前回は少数精鋭ながらもそのパワフルな歌唱に圧倒されたのですが、今回は、ちょっとパワー不足を感じてしまいました。オーケストラに負けてしまった感じです。
演奏のほうは、最後のフィナーレに向かう激流は、凄まじいものでした。普段から音が大きいロンドン響ですが、その彼らが必死の形相で、ガーディナーの煽りについて行きます。いつもより更に大きい音が出ていました。
結局、手持ちの時計で1時間3分。この快速第9は2回目なのでもう慣れましたが、比較的定型的な演奏を聞き慣れている日本人には本当に衝撃的な演奏です。好きか?と問われれば、正直言うと、好みとは言い切れないないのですが、間違い無く記憶に残る演奏なのです。「やっぱり、年末には第9」としみじみと思った次第です。
(カメラを忘れて、携帯撮影)
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London Symphony Orchestra / Sir John Eliot Gardiner
Beethoven Symphonies No 1 and No 9 ('Choral')
15 December 2011 / 19:30
Barbican Hall
Beethoven Symphony No 1
Beethoven Symphony No 9 (‘Choral’)
Sir John Eliot Gardiner conductor
Rebecca Evans soprano
Wilke te Brummelstroete mezzo-soprano
Michael Spyres tenor
Vuyani Mlinde bass-baritone
Monteverdi Choir
London Symphony Orchestra
背が高く、難しそうな顔をしたガーディナーは、威圧感というか威厳たっぷりで、つたが絡まる歴史的な建物に囲まれた大学の研究室で、文献を読み込んでいる姿がぴったりです。なので、私は勝手ながら「教授」と呼んでいます。
冒頭の交響曲第一番。音の強弱が明確でメリハリの効いた小気味のよい演奏でした。ティンパニーのアクセントが良く効いていて、気持ちの良い演奏です。
休憩後の第9。前回はその快速演奏に肝を抜かれましたが、今回もスピードは健在でした。凄いスピードで畳み掛けるような勢いで音楽が進んでいきます。第1、第2楽章はそのスピード感が、リズムと勢いを作っています気がします。ピリオド奏法による演奏は、無駄な虚飾がなく、筋肉質な印象です。
そして、最終楽章も早いペースの筋肉演奏は続いたのですが、ちょっと残念だったのは、独唱者と合唱。独唱者はオーケストラの後方、合唱の前に位置していて、あくまでも合唱の一部という位置付けなのでしょうが、今回は存在感を殆ど感じませんでした。また、合唱も、教授自らが1964年に結成したモンテヴェルディ合唱団で、前回の第9に加えて昨年夏のプロムスでも素晴らしい合唱を聞いているのですが、今回のパフォーマンスはもう一つ。前回は少数精鋭ながらもそのパワフルな歌唱に圧倒されたのですが、今回は、ちょっとパワー不足を感じてしまいました。オーケストラに負けてしまった感じです。
演奏のほうは、最後のフィナーレに向かう激流は、凄まじいものでした。普段から音が大きいロンドン響ですが、その彼らが必死の形相で、ガーディナーの煽りについて行きます。いつもより更に大きい音が出ていました。
結局、手持ちの時計で1時間3分。この快速第9は2回目なのでもう慣れましたが、比較的定型的な演奏を聞き慣れている日本人には本当に衝撃的な演奏です。好きか?と問われれば、正直言うと、好みとは言い切れないないのですが、間違い無く記憶に残る演奏なのです。「やっぱり、年末には第9」としみじみと思った次第です。
(カメラを忘れて、携帯撮影)
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London Symphony Orchestra / Sir John Eliot Gardiner
Beethoven Symphonies No 1 and No 9 ('Choral')
15 December 2011 / 19:30
Barbican Hall
Beethoven Symphony No 1
Beethoven Symphony No 9 (‘Choral’)
Sir John Eliot Gardiner conductor
Rebecca Evans soprano
Wilke te Brummelstroete mezzo-soprano
Michael Spyres tenor
Vuyani Mlinde bass-baritone
Monteverdi Choir
London Symphony Orchestra