その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

プロムス ギャラリー席へ突撃

2011-08-12 20:32:13 | コンサート (in 欧州)
7月にプロムスの同日券アリーナを経験した(こちら→)ので、次回は同日券のギヤラリー席を試したいと思っていたのですが、仕事が早めにケリがついたこの日、ギャラリーにチャレンジしました。

この日の前売り券は完売だったためか、私が開演15分ぐらいまえに会場に到着した時は、当日券を求める長い列がまだ出来ていました。列が長かったので、開演に間に合わないのではないかとハラハラしたのですが、ギリギリ5分前にようやく列の先頭にたどり着き、5ポンド払って、入場。今回のチケット番号は391番でした。

急いで5階分の階段を駆け上ってギャラリーへ到着。最上階から見下ろすアルバートホールは壮観です。既に先行入場者組みが、手すり寄りのいいところは抑えられています。グループでビール宴会中のグループ、床に座って本を読む人、寝ている人などなど、いろんな人がいるのが興味をそそりました。私は、舞台の正面左側で、床に座ったままで聞こうとしている雰囲気のお姉さんたちの後ろに陣取りました。

(ギャラリーからの眺め。椅子席は満員)


(ギャラリーで開演を待つ人たち)




(このお姉さんの後ろに陣取り)


この日はフランスもののプログラム。最初のドビッシーの「牧神の午後への前奏曲」が美しい音楽が始まると、予想以上に音が良く聴こえるので驚きました。3曲目の「ボレロ」、最後の「ダフニスとクロエ」ともに、管楽器(特にフルート)の響きが美しかったし、また「ダフニスとクロエ」は(平均年齢は高そうだったけど、)美しいコーラスで、映像が目に浮かぶような合唱とオーケストラの共演でした。

しかし、難儀したのは暑さ。ホールの最上部のためか、会場の熱気がすべて上昇してきたのかと思うほど蒸し暑い。サウナにいるのかと思ったほど。ただ、この点を除いては、5ポンドと言う素晴らしいコストパフォーマンスに大満足。当日券のアリーナとギャラリーどっちがいいかと言うと、私は気楽に思い思いに楽しめるギャラリーかな?

(拍手に応えるDonald Runnicles)





Prom 26: Debussy, Dutilleux & Ravel

Wednesday 3 August
7.30pm – c. 9.55pm
Royal Albert Hall

Debussy: Prélude à L'après-midi d'un faune (8 mins)
Henri Dutilleux: 'Tout un monde lointain...' (27 mins)
J. S. Bach: Suite for Solo Cello No. 3 in C major, BWV 1009 - No. 5 Bourées 1 & 2 (3 mins) (encore)
Ravel: Boléro (15 mins)
INTERVAL
Ravel: Daphnis and Chloë (50 mins)

Lynn Harrell cello
Edinburgh Festival Chorus
BBC Scottish Symphony Orchestra
Donald Runnicles conductor
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昨日の公演をTVで復習 (ドゥダメル指揮シモン・ボリバル交響楽団、マーラー交響曲第2番)

2011-08-06 23:22:01 | コンサート (in 欧州)
 夕食を終えてTVをつけたら、何とBBCで昨夜のプロムス感動公演(ドゥダメル指揮シモン・ボリバル交響楽団 マーラー交響曲第2番)の放送が始まったところだった。TVで見ることで、「生はこんなんじゃなかった」と昨日の感動が覚めたらかえって興ざめなので、見続けるか、どうか一瞬迷ったが、そのまま最後まで見た。そして、今、昨夜の感動を更に膨らませている自分がここに居る。(昨夜の公演の感想はこちら→)

 昨夜は分からなかった幾つかの発見があった。第2,3楽章の前半は、スローテンポで危うく居眠りそうだったのだが、きっと昨夜の自分は寝ぼけていたに違いない。今日、TVで聴いたら、素晴らしく豊潤かつ繊細な演奏だった。ぐーっと惹きこまれるようにTVにかぶりついてしまった。いったい、昨日の自分は何を聴いていたのだろう?

 また、「メゾのアンナ・ラーションはちょっと声量がパワー不足」などと思ったのも、自分がボケていたに違いない。もともと声量を張りあげるようなパートでもないし、その歌声はまさに天上から天使が呼びかけているような歌声だった。TVでもこんなに感動するものだと自分で自分のことを驚いた。

(メゾソプラノ アンナ・ラーション)


 それにしても、今の撮影技術や音響技術は素晴らしいものだ。第5楽章で、天井桟敷のギャラリー席から届いた金管群の響きは、まさにホール全体を宇宙として静かにこだまする音を、BBCの絶妙のカメラワークと合わさり見事に再現していた。



 逆に、TVの限界として思ったところもある。私が夜空に響く尺玉花火のあとの余韻を思い起こさせた第1楽章、第3楽章後半等のパーカッション軍を中心とした爆発的な響きの余韻は、流石に再現されていなかった。

(昨日も今日もこのパーカッションの一撃、一撃にしびれた)


 また、オーケストラメンバーの演奏姿が、自分が感じた以上に大人の整然とした演奏姿に映っていたのが意外だった。実際は、弦にしても、同じところを演奏しているのか?と思うほど、人によって演奏姿勢やアクションが違っていた。そして、それが各々凄まじい熱意と迫力の身体表現であり、一つの塊としてまとまって目に入ってくると、欧州のメジャーオーケストラの整然とした演奏姿とは全く異なる迫力を生んでいたのである。だが、TVで見ると恐らく画面が一部しか映せないためだと思うのだが、どうもおとなしく映ってしまう。ちょっと、残念だった。

(オケの若者たち)








 まあ、いずれにせよ、昨夜自分はこんな凄いコンサートの場に居合わすことができたのだということを再確認できたのは幸運だった。昨日のナマも凄かったが、今日のテレビも凄かった。

(若大将ドゥダメル)


(ソプラノのミア・パーソン)


(イギリス・ナショナル・ユース合唱団の人たち)


(全体風景)




 2011年8月6日
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Prom 29: ドゥダメル/シモン・ボリバル交響楽団 マーラー交響曲第2番「復活」

2011-08-05 23:48:10 | コンサート (in 欧州)
 私の今シーズンプロムスの目玉公演であるグスターボ・ドゥダメル指揮シモン・ボリバル交響楽団によるマーラー交響曲第2番「復活」を聴きに行きました。2009年にロンドン公演の際は確か3公演ほどあったのですが、凄い前評判で、全て満員売り切れで、何度となくリターンチケットを狙ったのですが、全く縁がありませんでした。ですので、今日は、私にとってはそのリターンマッチでもあります。チケットも私の本プロムス最高値の55ポンド席です!!!

 ロイヤルアルバートホールの前には今まで見たことのないほど長い当日券を求める列が出来ていて、会場内も熱気プンプンです。

 

 このオーケストラ数年前までシモンボリバル・ユース・オーケストラと言っていて「ユース」が入っていたのですが、最近「ユース」がとれたようです。ただ、ステージに現れた演奏者たちは明らかにユースの人達で、10代後半から20代前半とお見受けする人が殆どでした。(ちなみに、シモンボリバルというのは、「19世紀初頭にスペインの圧政から南米諸国を解放した革命・思想家の名前で、ベネズエラ出身の英雄としてとしての彼の業績を称えたもの」(Wikiより引用)だそうです。)随分、演奏者の数が多いなあと思って、プログラムを数えたら天井近くのギャラリーから演奏する人達も含めて何と総勢184名のオケでした。

 そして、そのマーラーの交響曲第2番は、私にとっては、いろんな驚きや感動や多少の期待外れ感も入り混じった演奏でした。いきなり、第一楽章冒頭の低弦部分は、重いと言うのか、厚いと言うのか上手く表現できないのですが、今まで生で聴いた冒頭部とは随分違った音で驚きました。18名のチェロ、14名のダブルベースによる合奏は、低音好きの私にはたまりません。そして、第1楽章の途中で展開される凄まじい爆発とその余韻は、夏の夜の花火大会の大玉の爆発と夜空に残るその余韻そのもので、一瞬、アルバートホールが花火会場になったかと思うほどでした。荒削りながらも、グイグイと演奏する若者特有のエネルギーがプンプンする演奏で、聴く者は自然と引きこまれます。ただ一方で、ペースの緩急はあるものの、全体にとってもスローテンポで、正直第2,3楽章は危うく眠りそうになってしまったのは、私的には残念。

 圧巻は間違いなく第5楽章。オーケストラ、独唱、合唱が見事にかみ合って、途中で涙が流れそうになるぐらい感動のしっぱなしでした。オケも良かったけど、私はイギリス・ナショナル・ユース合唱団の素晴らしいハーモニーが印象的でした。こちらも160名程度の大合唱団なのですが、とても繊細で洗練された合唱で、荒削りで気合いを前面に出してグイグイと演奏するオーケストラとは好対照。その組み合わせが絶妙なケミストリーをつくっていました。そして、独唱はスゥエーデンの美人ソプラノ、ミア・パーソンの声がとっても綺麗で、良く通っていました。メゾのアンナ・ラーションはちょっと声量がパワー不足だったかも。

 終演後は、ほぼ聴衆全員がスタンディングオベーションで、狂気と言っても良い程の歓声と大拍手。多分、在英2年半の中で最も熱狂的な拍手でした。私もカメラを片手に、かなり激しく拍手をしました。演奏としてもっと上手な楽団は沢山あるでしょうが、この楽団ほど、演奏を通じて観衆に何かを感じさせる力、人の気持ちを揺りうごす力を持っている楽団は世界中でもそうは無いと思います。

(正面の黒いドレスがミア・パーソン)
 

(スタンディングオベーションの観衆)


(常に楽団員を立てて、自分は控えめなドゥダメル)
 

(ステージとコーラス全景)




Friday 5 August
7.30pm – c. 9.10pm
Royal Albert Hall
Choral music and singing events

Mahler
Symphony No. 2 in C minor 'Resurrection' (85 mins)
Miah Persson soprano
Anna Larsson mezzo-soprano
National Youth Choir of Great Britain
Simón Bolívar Symphony Orchestra
Gustavo Dudamel conductor
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PROM 19 オネゲル/ブリッジ/ベルグ/カスティリョーニ/ドビッシー (BBCSO/ オリヴァー・ナッセン)

2011-08-01 23:30:08 | コンサート (in 欧州)
 金曜日と言うことで、仕事が終えてアルバートホールに駆け付けた。チケットは持って無いが、当日券でストール席を購入。

 開演5分前ギリギリに入場したのだが、入ってびっくり。今までお客が最も少なく、寂しいプロモ。上部の席はがらがら。ストール席も7割ぐらいしか埋まってなくて、私の両隣もそれぞれ4人分ぐらい空いている。アルバートホールは大きい分、空席が目立つとかえって寂しさが増してしまう。指揮者とオーケストラが可哀想なぐらい華やかさに欠ける演奏会だった。

 でもプログラムは20世紀音楽が中心の意欲的なプログラムでとても楽しめた。

 1曲目、2曲目はフランスの作曲家アルテュール・オネゲルの小品。1曲目の表題Pacific231は、機関車の車軸配置を表したものだが、機関車がグイグイと車両を引っ張る様子が目に浮かぶような推進力を感じる音楽だった。3曲目はイギリスの作曲家フランク・ブリッジの小品“there is a willow grows aslant a brook”。「ハムレット」の第4幕で王妃がオーフィーリアの死を描写する冒頭の台詞とのこと。張り詰めた緊張感のある曲だった。 4曲目はベルグの『ウイーン』。独唱のClaire Booth は、声はきれいだったが、声量的にはアルバートホールではちょっとパンチ不足のような気も。

 休憩を挟んで最初の曲はイタリアの作曲家カスティリョーニでプロムス初演。11の音楽詩というサブタイトル通り、詩的な音楽で聞きながら絵が浮かんでくるよ。そして、最後はこの日の曲の中で唯一聞いたことがあるドビッシーの海。BBCSOらしい整ったアンサンブルで良かった。

 今日は当日券を買う時に、「ストールの舞台に近いところにしてくれ」と頼んだ。そしたら、たしかにストール席なのだが、チェロの真後ろ、ダブルベースの真横と言う席で、指揮者の斜め前で自分も楽団員になった気分で新鮮だった。コンサート中も音に囲まれるような感覚になり楽しめた。

 最後まで会場の寂しさは無くならなかったが、音楽はとても楽しめたので、とっても満足して会場を後にした。


Friday 29 July
7.30pm – c. 9.45pm
Royal Albert Hall

Honegger
Pacific 231 (7 mins)
Honegger
Pastorale d'été (8 mins)
Bridge
There is a Willow Grows Aslant a Brook (11 mins)
Berg
Der Wein (15 mins)
INTERVAL
Castiglioni
Inverno in-ver (22 mins)
Debussy
La mer (24 mins)

Claire Booth soprano
BBC Symphony Orchestra
Oliver Knussen conductor
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Prom 13: ヴェルディ/ レクイエム (Verdi/ Requiem)

2011-07-26 22:21:55 | コンサート (in 欧州)
 Promsへヴェルディのレクイエムを聴きに行った。レクイエムはモーツアルト、ブラームス、フォーレなどは聞いたことがあるが、ベルディのレクイエムは録音も含めて全くの初めて。指揮者は、昨年冬にROHでタンホイザーを聞いたセミヨン・ビシュコフ(Semyon Bychkov)、歌手陣もマリーナ・ポプラフスカヤ(Marina Poplavskaya)などが出るので期待の公演。

(今日も美しいロイヤル・アルバート・ホール)


 開演15分前に入場したら会場は既にほぼ満員。金曜日に行ったアリーナも一杯で全員が立っている。金曜日の公演では、寝ていたり、座っていたり人がいたのは、ただ空いていただけなのだと理解。凄い熱気である。

(会場が狭く見えるほど人で一杯)


(今日はBOX席です)


 公演は期待通り素晴らしいものだった。何といってもコーラスがすごい。バックステージを占拠したBBCシンフォニーコーラス、ウエールズBBC国立コーラス、ロンドンハーモニックコーラスの3つの団体、総勢400名を超えるコーラスの迫力は凄まじかった。あの大きなロイヤルアルバートホールに美しい合唱が響き渡り、特に、有名な第2楽章(?)の「怒りの日」のコーラスには背筋が寒くなるほどの戦慄を覚えた。ただ単に人が多いからヴォリュームが大きいわけではない。これだけの人数の合唱が見事に揃い、一つの有機体として、美しいのである。このコーラスには、独奏陣も色あせるほどだったと思う。

 独奏陣はソプラノのマリーナ・ポプラフスカヤとテノールのジョセフ・カレヤが印象的。ポプラフスカヤは透き通るような清らかな声が美しかったし、カレヤは甘い歌声というよりは、安定感のある落ち着いたテノールで、とっても好み。

 指揮のビシュコフもオーケストラ、独唱陣、合唱をとってもうまくまとめていると思った。BBCシンフォニーは相変わらずの好演。第2楽章の舞台外からのトランペットがアルバートホールに響きがなんとも美しい。確かに、これがレクイエム?という程、この曲は劇的な激しさに満ちているが、ビシュコフとBBCSOの演奏は美しく透明感があり、劇的だけどやはりこれはレクイエムなのだと納得した。

 コーラス、独唱、オケと3つの役者が揃いそれをビシュコフが見事にさばく。久しぶりに胸が熱くなる感動を覚えた公演だった。

(終演後)


(400名を超えるコーラス陣)


(合唱指揮者たちも交えて)




Prom 13: Verdi – Requiem

Sunday 24 July
7.00pm – c. 8.40pm
Royal Albert Hall
Choral music and singing events

Verdi
Requiem (86 mins)
Marina Poplavskaya soprano
Mariana Pentcheva mezzo-soprano
Joseph Calleja tenor
Ferruccio Furlanetto bass
BBC Symphony Chorus
BBC National Chorus of Wales
London Philharmonic Choir
BBC Symphony Orchestra
Semyon Bychkov conductor
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プロムス アリーナへ突撃

2011-07-23 18:11:10 | コンサート (in 欧州)
 昨日の金曜日、仕事がほぼ定時に終わり、さてこのまま家に帰るか?パブに寄り道するか?と一瞬考えて出た結論は、「そうだ、プロムスに行こう!」。

 先先週からスタートしたロンドン夏の名物プロムスですが、今年はまだ一度も足を運べていません。今週、火曜日のチケットを持っていたのですが、残念ながら仕事都合で、別のコンサートに振り替えたので、この日が私にとっての初日です。

(いつ見ても美しいロイヤルアルバートホール)


 チケットを予約してあるわけではないので、当日券狙いです。でも、前から一度は、あの当日券でしか入れない舞台の真ん前のアリーナに陣取ってみたかったので、まだチケットが残っているかドキドキしながらロイヤルアルバートホールへ向かいました。到着したのは開演30分程前ですが、既に入場を開始している当日アリーナの入口には30mほどの列が出来ていました。係のお姉さんに「並べばまだ入れるかな?」と聞いたら「今日はまだたくさんチケットはあるから大丈夫よ」とのこと。失礼ながら、この日の演奏はBBCフィルハーモニックという知名度ではイマイチの楽団だったことが、逆に幸いしたようです。

 10分も待たないうちに、ゲートにたどり着きました。チケットはなんと5ポンド!!!その日の昼飯のダブルチーズバーガーベーコン付きより安い!感動の価格です。チケットを受け取って、いよいよ中へ。会場に入る前に楽屋の横を通ります。楽団のおじさんが何人か廊下に出て練習していました。

(No306だからきっと、306番目ということなのでしょう。何枚配るかは良くわかりません。)


 会場に入るといつものプロムス会場です。全体的に暗く照明を落とした中、赤やブルーの照明が綺麗に輝き、華麗なホールの中を照らしています。ボックス席、ギャラリー席に廻りを取りこまれ、この大ホールのど真ん中に立つというのは、それだけで気分の良いものです。ロイヤルアルバートホールは大きすぎるとか、音響が悪いとかいろいろ批判はあるようですが、独特の雰囲気を持つホールです。特に、プロムスのこのお祭り的なウキウキの雰囲気は、なんとも言えない高揚感があり、「やっぱり好きだわ、プロムス」と自然とつぶやきが出ます。





 開演まで多少時間があることもあってか、アリーナは半分ぐらいの埋まり具合でした。だいたいの人が床に腰を降ろして座っていますが、中には寝転がっている人までがいます。なんともリラックスした雰囲気。耳をすましていると、いろんな言語で話し声が聞こえてきますし、スーツの人(これは少ない)からTシャツ・短パンの人、中学生ぐらいの人から杖を突くようなご老人まで、またPromsのシリーズパンフレットを持って書き込みをしている如何にも常連のおじさんから旅行者の日本人おばさんペアまで、いろんな人がいます。

※日本人のおばさま方の会話。これぞ、関西弁の見本のような会話で、腹の中で大笑い。
「あんた、なんでこんな椅子のない立ち見の席にしたん」
「・・・(一瞬、沈黙)あんた、椅子があったら寝よるやろ」
「そやな」

(写真を撮りまくっていたお姉さん)


 楽員さんたちが登壇し始めると、多くの人は立ちます。ただ、中には相変わらず座ったままの人、寝たままの人も居て、この人たちは演奏が始まっても、このまま。自由と言えば自由、いい加減と言えばいい加減。クラシック音楽の楽しみ方は、その人次第ということのようです。



 私はアリーナの右手後方で立って聴いていました。前に背の高い男性が立っていたので、視界はイマイチでしたが、オケに近いだけあって良く聴こえます。これが5ポンドで楽しめるというのは何と言う贅沢。

 この日はフランスの作曲家の作品6つを集めたプログラム。1曲は長くても最大25分程度なので、リラックスして楽しめます。私には指揮者のJuanjo Mena、BBCフィルハーモニックも初めてですが、とてもスマートで素敵なフランス音楽を聞かせてくれました。

(中央が指揮のJuanjo Mena)


(FallaのNights in the Gardens of Spainでピアノを弾いたSteven Osborne)


 ただ、週末のウエールズ旅行の霧と雨にやられたらしく、今週は自分の体調がイマイチ。そのためか、立ってオーケストラを聴くというのは、ちょっと体力的にきつかった。なんかどこに焦点を当てて聴いたり、見たりすればいいのか、イマイチ姿勢が定まらず、結果としてボーっとして聴き流したという感じになってしまいました。パブの立ち飲み、芝居の立ち見は全然気にならないで楽しめるので、今回つらかったのは、体調と慣れの両方のせいかもしれません。

 いずれにせよ、より多くの人にお手ごろにクラシックを楽しんでもらおうというこのPromsの素晴らしさはまさにこのアリーナにあることが良く分かりました。最上の場所が最安の値段で、貧富を問わず並びさえすれば万人に開かれているこのシステムは本当に素晴らしい。(ウインブルドンテニスのセンターコートも最上の席が何席か当日券用に確保されています)5ポンド席はこのアリーナのほかにも、最上階のギャラリーエリアにもあります。9月上旬一杯まで続くこのイベントで、是非、ギャラリーにもチャレンジしてみます。

Friday 22 July
7.30pm – c. 9.50pm
Royal Albert Hall
Classical for starters, French music concerts and events, Piano music

Debussy
Images - Gigues (7 mins)
Ravel
Rapsodie espagnole (15 mins)
Debussy
Images - Rondes de printemps (9 mins)
INTERVAL
Ravel
Alborado del gracioso (8 mins)
Falla
Nights in the Gardens of Spain (24 mins)
Debussy
Images - Ibéria (20 mins)
Steven Osborne piano
BBC Philharmonic
Juanjo Mena conductor
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キャンディード (バーンスタイン)/ロンドン交響楽団

2011-06-05 23:46:49 | コンサート (in 欧州)
ロンドン交響楽団によるキャンディード(演奏会方式)を聴きに行きました。序曲は良く耳にするし、組曲も一度演奏会で聴いたことがあるけど、お話付き、歌付きを全部通して聴くのは初めてです。

演奏会方式なので、ステージにオーケストラとその後ろに合唱団が陣取り。そして独唱陣がオーケストラの前で歌います。ナレーターが舞台向かって右手に陣取り、話を進行させます。演奏会方式ですが、歌手さんのちょっとした演技も入ります。

公演の方は、親しみやすい音楽を美しく聞かせてくれたLSOと歌手陣、迫力の合唱、軽妙なナレーションがうまく噛み合って、全編を通じてリラックスした雰囲気で、肩肘張らず、とっても楽しめました。ミュージカルを観るようなワクワクした気持ちで、物語を追うことが出来ました。

ちょっと残念だったのは、歌は、マイク、スピーカーを使っていたこと。今日は3階席だったので歌手のナマ声はほとんど聞こえませんでした。ただ、ミュージカルを見ていると思えば気になりません。

今回の発見は指揮のクリスチャン・ヤルヴィ。指揮ぶりが滅茶苦茶格好いい。ロスフィルでサロネンさんのアシスタントをやっていたせいか、棒の振り方もサロネンさんに似ている気もしないではないですが、体全体でリズミカルにリズムをとりながら、踊るがごとくの指揮ぶりは、キャンディードのリズムにも呼応して、音楽の一部になっているかのようでした。音楽も軽快かつおおらかで、美しいです。ちょっと今後マーク要。

帰り路では何人かの人が、ラストのサビのメロディを口ずさみながら、冷たい雨の中歩いていました。この夜の楽しい気分を共有している気がして、嬉しくなるものでした。








Bernstein Candide: London Symphony Orchestra
Concert performance
5 June 2011 / 19:00
Barbican Hall

Bernstein Candide
Kristjan Järvi conductor

Cast includes:
Andrew Staples Candide
Kiera Duffy Cunegonde
Kim Criswell Old Lady
Jeremy Huw Williams Pangloss, Martin
David Robinson Governer, Vanderdendur, Ragotski
Marcus Deloach Maximilan, Captain
Kristy Swift Paquette
Jeffrey Tucker Bear Keeper, Inquisitor, Tzar Ivan
Matthew Morris Cosmetic Merchant, Inquisitor, Charles Edward
Jason Switzer Doctor, King Stanislaus
Michael Scarcelle Junkman, Inquisitor, Hermann Augustus, Croupier
Peter Tantsits Alchemist, Inquisitor, Sultan Achmet, Crook
London Symphony Chorus
London Symphony Orchestra
Thomas Kiemle Director / Producer

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Maazel/ Philharmonia Orchestra/ Mahler No.7

2011-05-28 23:00:13 | コンサート (in 欧州)
書くほどの内容が全く無いのですが、一応、記録として残すという観点でアップいたします。

マゼールさんのマーラーチクルスで交響曲7番を聴いて来ました。

演奏会前にMiklosさんにお会いしました。Miklosさんは今日もかぶりつき席と言うことでしたが、私はこの日はリアストールということで後ろめの席です。

マーラー7番は、生でも録音でも聴いたことがなく、生まれて初めて聴く曲だったのですが、正直、全くお手上げでございました。第2楽章、第4楽章の一部で綺麗なメロディがあったり、最終楽章では交響曲の醍醐味とも言える様な大山場ありで、それなりにパーツパーツでは良いなあと思いつつも、全く全体像が自分なりに把握できず、「失礼しました。顔洗って出直します」という感じでした。演奏自体は、マぜール大先生特有の癖がある演奏とも思えませんでしたが、他の演奏を知らないので、何ともいえません。

ロンドンは気軽に安い価格でハイレベルなコンサートに行けるのはとても有難いのですが、何の準備もせず、わけもわからにまま、ただ聴きに行くだけでは駄目ですね、ちょっと、来シーズンは、考え直して、行動を改めないと・・・






Philharmonia Orchestra 2010/11
Maazel: Mahler Cycle 2011
Gustav Mahler: Symphony No.7

Lorin Maazel conductor

26 May 2011, 7:30pm
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ゲルギエフ/ ロンドン交響楽団/ チャイコフスキー交響曲第3番ほか

2011-05-15 23:29:27 | コンサート (in 欧州)
 久しぶりのLSO。今日はゲルギエフの指揮で、ショスタコーヴィチの協奏曲2つとチャイコフスキー交響曲というプログラム。どの曲も実演はもちろんのこと、CDでも聴いたことがない(はず)。開演前にvoyager2artさんにばったりお会いした。

 前半の1曲目はピアノとトランペットの協奏曲、2曲目はピアノの協奏曲2番。ピアニストのYefim Bronfman(イェフィム・ブロンフマン)さんは若き日にソビエトからイスラエルへ亡命したとパンフに記載があったが、世界的にも有名なピアニストらしい。プログラムの写真は顔しか写ってないが、登場するとずいぶんと肥えた大きな人で少し驚いた。ただピアノはその大柄な体格とはまるで似つかわない繊細で、軽快で、優美なピアノ演奏だった。ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲ってどんなものか、ちょっと構えてたのだけど、聴きやすい曲だったので良かった。 第2楽章なんて本当に美しいメロディでびっくり。

 チャイコフスキー交響曲第3番も初めて聴く曲だが、チャイコフスキーらしいバレエ音楽のような耳に優しい聴きやすい曲で楽しめた。第2、3楽章のファゴットの音色がとても美しい。最後は大円段で盛り上がってフィニッシュ。ゲルギーも終始ノリノリの指揮ぶりで、3階席からはゲルギーの手のヒラヒラがひときわ目立ち、蝶でも舞ってるかのごとくだった。

 今日は仕事の関係で日中は1日部屋に居たので、体力も温存され、ベストコンディションでコンサートに臨めた。今夜は最安8ポンドの3階席だったが、あまりそのデメリットを感じないほど、よく聴こえたし、自分としても集中できた。いつもこうありたいものだ。

 ここ2回、マゼールさんのマーラーが続いたので、久しぶりに、スタンダードな形式のクラシックコンサートを楽しんだ。

(ピアノのYefim BronfmanとトランペットのPhilip Cobb)


(終演後)



 --------------------------
London Symphony Orchestra / Valery Gergiev
Music by Shostakovich and Tchaikovsky
12 May 2011 / 19:30
Barbican Hall

Shostakovich Concerto for Trumpet, Piano and Strings
Shostakovich Piano Concerto No 2
Tchaikovsky Symphony No 3 ('Polish')

Valery Gergiev conductor
Philip Cobb trumpet
Yefim Bronfman piano
London Symphony Orchestra

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フィルハーモニア管/ マゼール:マーラー交響曲第3番 (マーラーサイクル 2011)

2011-05-09 23:02:30 | コンサート (in 欧州)
日曜日の夜、私自身2回目のマゼールさんのマーラーチクルスに足を運びました。今回は、100分を超える大曲の交響曲3番。昨年のプロムスで聞いたはずです。

しかし、この日は、私自身がダメでした。何故か、昼過ぎから眠くてたまらず、コンサートに備えて昼寝までしたのに、猛烈な睡魔との闘いに終始し、集中力は半分以下。平日は良くこういう時もあるのですが、休日にこういうのは珍しく、とっても不甲斐ない。

そんな状態だったのですが、素晴らしい熱演だったと思いました。初っ端から、ホルン、トロンボーンをはじめとする金管の活躍に痺れ、気合い十分の弦にもうっとりで、とっても緊張感のある演奏でした。第一楽章が終わった時点で、もうお腹一杯という感じ。

その後も、集中力を欠いた自分と全く反対の集中力一杯の熱演振りに、意識もうろうの中、感動してました(我ながら結構、器用)。時たま、首をかしげるところも無かったわけではないですが、この熱演の中では目立たないと思いました。 マゼールさんの指揮は変化球で有名なようですが、直球を知らない私には変化球もカーブなのか、シュートなのかも良くわからないのですが、今日は結構、素直な玉ではなかったかと。

終盤に入る独奏は、ストーティンさんから急遽、コノリーさんが代役でしたが、しっとりとした艶のあるメゾソプラノで奥行きが感じられる歌声でした。最終楽章はそのまま天にも昇るような気持ちになりました。

会場はものすごいブラボーの嵐で、比較的クールな反応が多いロンドンの聴衆としてはかなり熱狂的な拍手でした。マゼールさんも嬉しそうでした。それにしても80歳というのにお元気なことです。指揮台の上で、飛び跳ねていますからね。

マゼールさんには、当初あまりいい印象は無かったのですが、段々と好きになってきたような気がします。 もう手元に今後のチケットは無いのですが、もう少しチクルス、聴いてみようかと思い始めています。

(余談)
評判のフィオーナさんチェックだけは眠くてもやってきました。「なるほど」と理解。でも自分の参戦は控えよう。今回初めて気がついたのですが、フィルハーモニアって、随分、若手の女性奏者が居るんですね。それも、かなりハイレベルな。新しい発見でした。


※相変わらずピンボケですが何枚か。








Maazel: Mahler Cycle 2011
Royal Festival Hall
Sun 8 May 2011, 7:30pm

Lorin Maazel
conductor

Sarah Connolly
mezzo-soprano

Philharmonia Voices
Tiffin Boys Choir

Mahler
Symphony No. 3

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マゼール/ フィルハーモニア/ マーラー交響曲第4番ほか

2011-05-01 23:55:13 | コンサート (in 欧州)
 マゼールさんのマーラー・チクリスに初めて足を運びました。
 
 前半は「リュッケルト歌曲集」。バリトンはサイモン・キーンリサイドさん。登場してびっくり。何と左腕にギプスしてました。どうしたんでしょうか?もうすぐロイヤルオペラでマクベスも始まるのに大丈夫かと少し心配になりました。多少動きにくそうですが、力強く、抒情的な歌声は素晴らしいです。残念だったのは、カーテンコールが1回きり。1回のカーテンコールが終わったところで、すーっと拍手が引いてしまい、私は一生懸命拍手したのに、他の聴衆の皆さんはあまりお気に召さなかったのかな?

 後半は交響曲第4番。自分自身そんなに聴きこんでいる曲ではないのですが、マゼールさんの指揮は面白いですね。テンポ、強弱に変化があって、第1楽章は、コブシが効いた演歌の世界のようでした。第4楽章で登場したソプラノのSarah Foxさんも良かったです。高温が綺麗に伸びた美しい声でした。前列3列目に陣取ったので、とっても良く聴こえました。

 フィルハーモニアの演奏も、マゼールさんのタクトに的確にこたえる安定したものだったと思います。私の演奏会に行ったのは2か月弱ぶりなのですが、やっぱりコンサートは良いなあと思った次第です。

 ※今日のサプライズ。インターバルでMiklosさんと遭遇しました。

(サイモン・キーンリサイドとマゼールさん)


(Sarah Foxさん)



Royal Festival Hall

Philharmonia Orchestra
Resident at Southbank Centre

Gustav Mahler:

Rückert-Lieder
Interval
Gustav Mahler: Symphony No.4

Lorin Maazel conductor
Sarah Fox soprano
Simon Keenlyside baritone

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ロンドン フィルハーモニック/ ユロフスキ指揮/ チャイコフスキー交響曲第4番ほか

2011-03-19 00:00:57 | コンサート (in 欧州)
 クリスティアン・テツラフの独奏による素晴らしいヴィオリン協奏曲。こんなに穏やかで、優美で、繊細な演奏は初めてのような気がする。モーツァルトを聴いているような気分だった。途中、あまりの耳障りの良さにうとうとしかけたが、何とか持ちこたえた。オーケストラはしっかりテラリフに沿い合わせるように演奏。独奏としっかり息のあった演奏で、素晴らしいコンビネーションだった。終演後は凄い拍手。スタンディングオベーションも見かけるほど。アンコールもやってくれた。聴いたことのある曲だが名前は知らない。これまた優美な曲で、ベートーベンの後味を全く損なわない。フルーツシャーベットのような、軽いデザートを食した感じで心地よかった。

 休憩後のチャイコフスキー交響曲第4番はうって変わった豪快な曲。金管がガンガンにならす。恥ずかしながら、この曲、有名であることは重々承知だが、CDは持ってないし、実演は初めて。なので、聞き所というのは解らなかったのだが、そんなのは解らなくても、馴染みやすい曲だ。豪快な第1、4楽章もいいが、第2の美しいメロディや、第3楽章のリズミカルな民謡風の音楽も楽しい。ロシアの代表的作曲家チャイコフスキーとロシア人の新進気鋭のユロフスキさんの指揮という組み合わせにも期待していたが、期待に十二分に応えてくれるものだった。金管のパワーと木管のリーダー陣の技も弦の熱演と併せて光る。会場は大拍手だった。

 今夜気になったのは、まあ咳、物音の雑音は相変わらずだが、楽章の間に拍手が入ること。確かに拍手したくなるような熱演ではあったのだが、ちょっと間が狂うので、やめてほしい。


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2011-03-18
Julian Anderson: The Crazed Moon
Ludwig van Beethoven: Violin Concerto
Interval
Peter Ilyich Tchaikovsky: Symphony No.4

Vladimir Jurowski conductor
Christian Tetzlaff violin

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London Symphony Orchestra / Sir Simon Rattle

2011-03-08 22:25:08 | コンサート (in 欧州)
つい先日、このバービカンホールでベルリンフィルを率いたサイモン・ラトルの指揮、ロンドン交響楽団による演奏でブルックナーの交響曲第9番を聴いた。

「また聴いてしまった。こんなに素晴らしい音楽を当たり前のように聴いていいものだろうか?」が終わったあとのつぶやき。ラトルの創る音楽は限りなく美しい。ブルックナーの音楽が自分の魂のなかに染み透るような感覚になる。どんな音楽的メッセージも要らない。ただ音に体を晒しているだけで、自分の心身までもが清められる気がした。集中して、音の色彩や陰影や音楽の構成が感じ取れる。

今日は久しぶりに2階席。最近2回連続で、前列かぶりつき席が続いたが、今日は全体がよく見渡せる。金管の咆哮、木管の調べ、弦の厚み、どれも素晴らしい。前列のような生々しさはないが、奏者、指揮者を見ながらバランス良く聴けるのが良い。ラトルは細部までしっかりコントロールを利かせて指揮しているように見受けられるが、LSOもリクエストにしっかり応えていた。

終演後、ロンドンの聴衆はこのイギリス指揮者と地元のオケに惜しみ無い拍手を送った。ロンドンのオケだって負けてないのである。

休憩前は、メシアンの「われ死者の復活を待ち望む」。管楽器と打楽器だけの音楽。キリストの復活とかを歌った宗教音楽らしい。銅鑼がバンバンなって、弦楽器もないし、いかにもメシアンという曲。目新しさという意味では面白いし、LSOの演奏も素晴らしい。でも、私にはまだ理解できない音楽。

London Symphony Orchestra / Sir Simon Rattle
Music by Messiaen and Bruckner
7 March 2011 / 19:30
Barbican Hall

Messiaen Et exspecto resurrectionem mortuorum
Bruckner Symphony No 9

Sir Simon Rattle conductor
London Symphony Orchestra

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MIDORI リサイタル

2011-03-06 21:00:52 | コンサート (in 欧州)
 もう2週間も前になってしまいましたが、先々週の日曜日の夜、MIDORIさんのWigmoreホールでのリサイタルに行ってきました。わたしにとってはとても衝撃的なリサイタルで、記事にする言葉が見つからないまま、今日に至っています。ただ、このまま放っておくのも、私の記録に残らないので、一言だけ。

 Midoriさんの演奏は凄かったです(小学生の作文のよう)。ヴァイオリンから発せられる音にMidoriさんの厳しいけど暖かく幅の広い人間性が滲み出てます(きっと、そういう人なのだろうと思ってます)。Wigmoreホールは初めて行ったのですが、舞台後ろに丸天井があって「音楽の魂」が描いてあります(こちら→)。その神秘的な絵と彼女の演奏姿が重なって、ヴァイオリンの神が乗り移った様にさえ見えました。深い感動にとらわれたリサイタルでした。

 ※voyage2artさんが詳細で素晴らしいレビューを描いておられますので、リンクを貼らせていただきます。(こちら→


20 Feb 2011, 19:30
Wigmore Hall

Midori (Violin)
Charles Abramovic (Piano)

Ludwig van Beethoven: Violin Sonata No.1 in D
Brett Dean: Berlin Music for violin and piano
Franz Schubert: Sonatina in G minor D408
César Franck: Violin Sonata in A
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London Symphony Orchestra / Valery Gergiev / Mahler Symphony No 9

2011-03-04 22:39:24 | コンサート (in 欧州)
ゲルギエフ指揮のロンドン交響楽団によるマーラー交響曲第9番を聴きに行きました。マーラーの第9番は今年に入って3回目。昨年まで生で聞いたのは2回だったので、この3ヶ月でこれまでの数十年分の回数を上回ってしまいました。

しかし、いまだもって、このマーラーの9番というのは、私の中ではつかみどころが分かりません。毎回聴くたびに、曲の印象が違うからです。そして、昨日もまた新しい9番でした。

ゲルギーの指揮は変幻自在とでも言うのでしょうか。とってもスローテンポかと思いきや、急アクセルで一気呵成にドライブをかけたりする特徴のあるもので、ぐいぐいオケを引っ張ります。よくオケがついていけるなあと感心するほどです。指揮棒なしで、手のひらを蝶のようにひらひら震わせながら、そして時折唸りながらの指揮姿は、いつもながらとは言え、とってもユニークです。この日は、最前列の席のせいか、特に気合が入っているように見えました。正直、他の指揮者の演奏と何がどう違うのかは、よく分からんのですが、彼のくねくねの手の先、指の先から生まれるLSOの音は、濁りのない美しいアンサンブルでした。

LSOは弦楽器の美しさはもとより、管が抜群ですね。最前列からは管の人はほとんど見えませんが、見えないところからとろけるような木管の調べや、ホール全体を貫く金管の叫び聞こえてきました。そして、目の前で発せられる美しい第2ヴァイオリンの響き。至福の時間です。

休憩を挟んでは、マーラーの交響曲第10番。これは第1楽章のみの未完の作品です。以前、ハーディングの指揮で聴いたことがあるのですが、改めて聴いてみると全然覚えていませんでした。9番のあんな熱演の後に、オケにまだ余力があるのかと思ったけど、流石はプロ集団。ゲルギーもLSOも気合いたっぷりで熱意のこもった音楽でした。

余談ですが、この日は珍しく休憩中にとなりに座った人から話しかけられました。半年前からロンドンの大学院で勉強している中国人の女学生。LSOのコンサートは初めてということで、とっても感動した様子。同じ感動をその場で共有できるのは嬉しいものです。

昨年からのロンドン マーラー祭りはまだ続きます。4月からフィルハーモニー管弦楽団とマゼールによるマーラー・チクリスシリーズが。まだチケット買ってないけど、これはどうしようかなあ~。


London Symphony Orchestra / Valery Gergiev
Mahler Symphony No 9
3 March 2011 / 19:30
Barbican Hall

Mahler Symphony No 9
Mahler Symphony No 10 (Adagio)

Valery Gergiev conductor
London Symphony Orchestra

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