この年末年始は体調を崩して寝込んだことに加えて、その他のアクシデントも加わり、近年まれに見る最低の年末年始だったのですが、唯一の救いが、訪英してくれた家族と出かけたミュージカル「ビリー・エリオット(Billy Elliot)」。
ご存知の方も多いと思いますが、2000年の映画「Billy Elliot(日本語タイトルは「リトルダンサー」)をミュージカル化したもので、ロンドンでは2005年からのロングランです。1980年代(サッチャー政権期)のイングランド北部の炭坑村で炭坑夫として働く父と兄を持つビリーが、村のバレエ教室に偶然参加したことがきっかけに、バレエに目覚めるものの、経済的困難、炭坑の労働争議、階級対立と言った厳しい環境の中、家族や周囲のサポートを受け、ロイヤルバレエスクールのオーディションに合格するという物語です。
今回は家族のリクエストもあり、1回分はチケットを購入していたのですが、家族ともども私としても2年ぶりに見たこのミュージカルに嵌ってしまい、5日で3回も足を運ぶというお祭りとなりました。
笑いあり、涙ありのストーリー展開、エルトン・ジョンの音楽の馴染みやすさ、効果的な演出等、優れたところが数多いこのミュージカルですが、今回の発見は主役ビリー・エリオット役やビリーの親友マイケル役の子役たちの個性の際立ち方。ビリーもマイケルも4名でローテーションを組んでいるようなのですが、その日の子役によって舞台の印象が大きく変わるのです。
例えば、私が観た3回のうちの2回のビリーを演じたRyan Collinson君は体操レッスンの経験はあってもクラシックバレエや舞台演技の経験は無し。ですので、バレエのシーンは正直、観ていてハラハラするぐらい不安定なところもあるのですが、しぐさ、表情の少年っぽさが絶妙で、バレエは駄目でもタップダンスやモダンダンス的な場面や、空中宙返り等のキレは抜群。溌剌とした舞台を見せてくれました。一方で、1回観たAdam Vesperman 君はバレエの基礎が出来ているようで、バレエの回転シーンなどは惚れ惚れする程、軸のぶれない綺麗な踊りで、腕や足の動きがなんとも優雅です。
驚いたのはこの2名の個性を活かしてなのか、2幕のオーディションシーンで踊るソロのダンスでは、ベースの音楽は同じなのですが、Adam君には白鳥の湖のメロディがバックに被せられた編曲がしてあり、バレエ的なダンスを中心に組み立てられているのに対して、Ryan君は白鳥の湖は被せられず、徹底してストリートダンス的なダンスでダイナミックに魅せます。どっちが良いということなく、ただその子役たちの個性とその舞台印象に与えるインパクトの大きさに感動しました。そして、ビリーの親友マイケル役は3名の舞台を観ましたが、これも各人大きく個性の異なるものでした。
ロンドンのブロガーの方々の記事の中で、バレエの記事を書いてらっしゃる方が、ダンサーによって、同じ作品でも如何に舞台が変わるかということをご紹介されているのを良く目にしますが、実感として分かったような気がしました。
かなり沈んだ1年のスタートだったのですが、なんとか、このミュージカルからもらった元気で、この1年頑張ろうと思わせてくれたビリー君たちに感謝です。
※公式ホームページはこちら→
※カーテンコールより



ご存知の方も多いと思いますが、2000年の映画「Billy Elliot(日本語タイトルは「リトルダンサー」)をミュージカル化したもので、ロンドンでは2005年からのロングランです。1980年代(サッチャー政権期)のイングランド北部の炭坑村で炭坑夫として働く父と兄を持つビリーが、村のバレエ教室に偶然参加したことがきっかけに、バレエに目覚めるものの、経済的困難、炭坑の労働争議、階級対立と言った厳しい環境の中、家族や周囲のサポートを受け、ロイヤルバレエスクールのオーディションに合格するという物語です。
今回は家族のリクエストもあり、1回分はチケットを購入していたのですが、家族ともども私としても2年ぶりに見たこのミュージカルに嵌ってしまい、5日で3回も足を運ぶというお祭りとなりました。
笑いあり、涙ありのストーリー展開、エルトン・ジョンの音楽の馴染みやすさ、効果的な演出等、優れたところが数多いこのミュージカルですが、今回の発見は主役ビリー・エリオット役やビリーの親友マイケル役の子役たちの個性の際立ち方。ビリーもマイケルも4名でローテーションを組んでいるようなのですが、その日の子役によって舞台の印象が大きく変わるのです。
例えば、私が観た3回のうちの2回のビリーを演じたRyan Collinson君は体操レッスンの経験はあってもクラシックバレエや舞台演技の経験は無し。ですので、バレエのシーンは正直、観ていてハラハラするぐらい不安定なところもあるのですが、しぐさ、表情の少年っぽさが絶妙で、バレエは駄目でもタップダンスやモダンダンス的な場面や、空中宙返り等のキレは抜群。溌剌とした舞台を見せてくれました。一方で、1回観たAdam Vesperman 君はバレエの基礎が出来ているようで、バレエの回転シーンなどは惚れ惚れする程、軸のぶれない綺麗な踊りで、腕や足の動きがなんとも優雅です。
驚いたのはこの2名の個性を活かしてなのか、2幕のオーディションシーンで踊るソロのダンスでは、ベースの音楽は同じなのですが、Adam君には白鳥の湖のメロディがバックに被せられた編曲がしてあり、バレエ的なダンスを中心に組み立てられているのに対して、Ryan君は白鳥の湖は被せられず、徹底してストリートダンス的なダンスでダイナミックに魅せます。どっちが良いということなく、ただその子役たちの個性とその舞台印象に与えるインパクトの大きさに感動しました。そして、ビリーの親友マイケル役は3名の舞台を観ましたが、これも各人大きく個性の異なるものでした。
ロンドンのブロガーの方々の記事の中で、バレエの記事を書いてらっしゃる方が、ダンサーによって、同じ作品でも如何に舞台が変わるかということをご紹介されているのを良く目にしますが、実感として分かったような気がしました。
かなり沈んだ1年のスタートだったのですが、なんとか、このミュージカルからもらった元気で、この1年頑張ろうと思わせてくれたビリー君たちに感謝です。
※公式ホームページはこちら→
※カーテンコールより


