その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

平田オリザ 演劇展 「忠臣蔵 OL編」 @こまばアゴラ劇場

2014-06-21 09:45:12 | ミュージカル、演劇



 ロンドンで演劇の面白さに多少目覚めたところがあるので、日本でもたまには見に行きたいと思っています。どういう基準でどの公演を選べばよいのかが良く分からないのが、悩みなのですが、今回は、春に著作を読んだ平田オリザ氏の演劇に行ってみました。平田さんは、「現代口語演劇理論」という理論を通じて、西洋演劇の輸入だけでない、日本での新しい演劇様式を追求しており、私が言うまでもなく、日本の演劇界の第一人者のひとりと言えると思います。

 演劇展ということで、氏の作品4作が2週間余りの期間に、平田氏創設の劇団青年団により演じられます。私が観たのは「忠臣蔵 OL編」。主君の刃傷により、お家取り潰しの危機に直面した赤穂藩浅野家の家臣たちが、これからどうするのかを議論する場が描かれます。1時間ちょっとの作品です。

 OL編では、設定が現代の会社の休憩室に置かれ、家老を含む6名のOL武士たちが、喧々諤々の討論を展開します。切腹、籠城、討ち入りなど、関が原から100年たって失いつつある「武士道」の価値観の中で、何をどうするのか?誰もが知っている日本史のできごとを背景に、テンポ良い軽妙な口語の会話と、現代と江戸時代が混じったシチュエーションの不自然さが、リズミカルかつコミカルで楽しめます。舞台セットはどこの会社にでもあるような休憩室のテーブルと電子レンジ、そして部屋を囲むのが戦陣幕ぐらいで、とってもシンプル。効果音や音楽もないので、会話に集中できるのも良いですね。役者さんたちもみなさん熱演でした。


≪開演前≫

 ただ、この忠臣蔵は、OL編と武士編があるのですが、両者を見比べないとOL編の真の意味合いは分かったことにはならないのかもしれません。

 100名も入らないのではと思われ、役者さんの息遣いまで聞えてくるこじんまりとした劇場での観劇体験。惹きつけられるものがあります。また、他の作品も見てみたいと思います。

 2014年6月14日

コメント
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