その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

宇多川元一 『他者と働く 「わかりあえなさ」から始める組織論』NewsPicksパブリッシング、2019年

2024-11-20 07:29:24 | 

(今年読んだ本のメモが全然書けてない。今年もカウントダウン間近なので、とりあえず簡単ですが、書けるものを書いていきます)

 

既存の方法では解決できない複雑で困難な問題(適応課題)を解くために、組織のコミュニケーションを「対話」と「ナラティブ」を切り口に分析する。理論と実践(実務)のバランスが取れた信頼できる本と感じた。

「ナラティブ」とは「物語、つまりその語りを生み出す「解釈の枠組み」のこと」(p32)。そして、「対話」とは人それぞれの異なるナラティブに橋を架け、新しい関係性を築くこととする。組織とは関係性そのものであるから、対話とナラティブは新しい関係性を築く組織論となる。筆者は、そのための方法論を実例を交えて説明する。

準備、観察、解釈、介入と言う対話のプロセスとその実践例は納得感ある。また、「マネジメントは現場を経営戦略を実行するための道具扱いしない」、「立場が上の人間を悪者にしておきやすい「弱い立場ゆえの正義のナラティブ」に陥らないように」、「対話の罠として「迎合」「馴れ合い」といった事象への注意」などの個々の指摘も身につまされる。

節目節目で読み返し、その時々の自分と対話すると、そのたびに新しい気づきが得られる気がする。職場でも、良書として紹介した。

 


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