仕事のスケジュール都合で、都響A定期からB定期に振替えて参加。
ちらしのキャッチコピーをそのまま引用するのは気が引けますが、「モーツァルトの優美。シェーンベルクの耽美」という表現がぴったりの演奏会でした。
前半のモーツァルト「ディヴェルティメント第17番」を全曲通して聴くのは初めて。モーツァルトらしさ満載の音楽でサントリーホールが欧州の宮殿にでもなったかと思わせます。
とりわけ、今回の振返席がRA席で、野球場で言えば右中間センター寄りの席だったこともあり、対向に矢部コンマス率いる1stヴァイオリン隊から飛んでくる音が完全に一つの楽器のように、ダイレクトに直撃し、快感の極致です。楽曲も優雅さの中に、多彩な変化が織り込まれていて、ワクワク感が止まることが無いです。ヴァイオリンだけでなく弦と唯一の管楽器であるホルンが一体となって奏でられた上質の空間と時間でした。
後半のシューンベルグの交響詩《ペレアスとメリザンド》は今回のお目あて。戯曲、ドビュッシーのオペラともども好きで、シェーンベルクの交響詩も一度聴いてみたかったのです。シェーンベルクということで身構えていたのですが、ロマンティックで聴きやすい音楽でした。戯曲の主要人物造形や幻想的、官能的な雰囲気が音楽の中に美しく織り込まれています。物語の情景、人物たちが脳内で再生されていきます。
なんと、小泉さんは暗譜での指揮でした。長く、大編成、しかも滅多に演奏されないこの曲を譜面なしで振るって、凄くないですか。小泉さんの指揮に応えて、オーケストラは各楽器の名手のソロは聴き応えたっぷりでしたし、加えて、大編成オケが一つの生命体のように動き、うねる様には圧倒されます。休みなく音楽がつながっていくこの交響詩、45分近くありますが、あっという間に終わってしまいました。
終演後の会場から大きな拍手に小泉さんも大いに満足の様子でした。この方も今年75歳になられましたが、若いですね~。幸運なことに、シューンベルグの交響詩《ペレアスとメリザンド》は12月にルイージ/N響でも聴きます。聴き比べも楽しみです。
第1011回定期演奏会Bシリーズ
日時:2024年11月20日(水) 19:00開演(18:00開場)
場所:サントリーホール
【シェーンベルク生誕150年記念】
指揮/小泉和裕
曲 目
モーツァルト:ディヴェルティメント第17番 ニ長調 K.334 (320b)
シェーンベルク:交響詩《ペレアスとメリザンド》op.5