その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

映画 「ヴァチカン美術館 天国への入口」

2015-03-25 23:04:39 | 映画


「ヴァチカン美術館に、世界で初めて4K(Ultra HD)3Dカメラが入った。精緻な映像には世界の美術史における傑作の数々が、かつてない形で現れる」(公式HPより)という売れこみのドキュメンタリー映画。

確かに、4Kの超高精細な映像を3Dの立体感をもって観るのは驚くべき体験だった。彫刻は本来の彫りが手に取るように分かるし、絵画はもともと2次元なのにそれを3次元的に観るというのは、まるでドラマを観ているような気になる。あのラファエロの「アテネの学堂」に描かれた人物たちが、一人ひとり今にも動き出さんばかりに迫ってくる。

システィーナ礼拝堂のミケランジェロの天井画を紹介してくれたのもうれしかった。2010年秋にヴァチカン美術館を訪問した際には、双眼鏡を持参して鑑賞してみたものの、首は痛くなるし、礼拝堂もさほど明るくないので絵の詳細は分かりにくかった。なので、ミケランジェロで囲まれた礼拝堂そのもののすごさは感じたものの、天井画の一枚一枚についてはあまり印象が無い。今回、初めてじっくりと鑑賞させてもらえた気になった。

一方で、この画像の迫力を除いた、美術館や絵のドキュメンタリー映画としては内容は一般的で面白みに欠ける。昨今、TVでも色んな美術紹介プログラムがあるが、それらと比べても切り口や視点において新しいところは特になかった。

たしかに4K3D映像で人類の歴史的美術品を鑑賞するというのは一度経験する価値はあると思うのだが、65分で1500円(前売り券)はちょっとコスト・パフォーマンスとしては疑問符がつくので、万人にはお勧めできない。


スタッフ
監督マルコ・ピアジャーニ
監修アントニオ・パオルッチ
製作総指揮フランチェスコ・インベルニッツィ
エミリアーノ・マルトラーナ
脚本ドナート・ダラバーレ

キャスト
アントニオ・パオルッチ
パオロ・カシラギ
コメント
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