その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

五味 文彦, 鳥海 靖 『もう一度読む 山川日本史』 山川出版社

2015-05-04 20:12:40 | 


 今は昔・・・の世界だが、日本史は受験科目だったので結構勉強した。一番お世話になったのが、日本史受験生必携の山川出版社の教科書。正直、この教科書を読んでこれっぽちも面白いと思ったことは無かったけど、唯一の得点源科目でもあったから、アンダーラインで一杯になるぐらい読み込んだ。図書館でその大人版というふれこみの本書を見つけ、思わず手が伸びた。

 昔のことで記憶があいまいだが、本書は当時の高校生の教科書と比べると随分内容は絞ってあると思う。教科書らしい無味乾燥な文章は相変わらずだけど、オリジナルはもっと細かい脚注や用語が記載されていたはずだ。でも、大人が日本史をざっと振り返るには最適のボリュームで、懐かしさ半分と復習半分で、けっこう一生懸命読んでしまった。かなり忘れてる。

 改めて読んでみると、いくつか感じたことがある。まずは、やっぱり日本は平和で恵まれた、幸運な国だったということ。元寇こそあったものの、外国から攻め込まれることも殆どなく、アジア・太平洋戦争の終戦まで外国に占領されたことが無かったというのは奇跡としか言いようがない。日本人は平和ボケとか戦略性がないとか言われるけど、異民族からの侵略の脅威にさらされていた民族と比較すれば、まあ歴史の必然というか、当たり前だよね。

 そんな中で幕末から明治維新、第1次世界大戦ぐらいまでの日本の「革命」ともいえる近代化は改めて奇跡的だと思った。帝国主義が吹き荒れる国際情勢の中で、自らの力で国の根本を変えていったのは、当時の指導者達の先見性と行動力ともに日本国人の生真面目な向上心あってのことだろう。それに「運」が味方したことも間違いない。
 
 さすがに高校時代から時間も大いに経過し、記述もそれなりに変わっていた。聖徳太子、源頼朝、足利尊氏の有名な肖像画はどれも「伝」になっていたし、中世の始まりも源平の争乱から院政期に移っている。

失礼な話だが、期待以上に楽しめ、自分の知識の整理に役立ったので、再び座右の書として購入してみようかと思っている。
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