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新聞の読書欄で紹介されていたので読んでみた。新庄氏の著作は全く初めて。
名門大学からブラック企業を地で行く中小規模の不動産会社に就職した松尾くんの成長物語。前半は、まだこんな会社(過重労働に加えて暴言、暴力)があるのかと驚きながら、松尾君の不幸とわが身のこれまでの幸運(少なくとも暴力は無い)を噛みしめながら読み進めた。そして、後半は、松尾君の「一皮むける経験」を通じた成長ぶりに精一杯の声援を送った。池井戸潤氏の企業小説(半沢直樹シリーズ)に近いリアリティがあり、話の展開も早いので、読み出したら止まらない。
若い人が読むと色々教訓めいた自己成長のための「ツボ」が隠れている。仕事とは何かということ、仕事への取組みスタンス、仕事で考えることとは何かなどなど。ただ、そんな若手社員で既になくなった私が感じたのは、まじめに「修羅場を通じて一皮むけた松尾君のこれからのキャリアデザインはどうあるべきか?」。
企業の人材育成担当者やキャリアアドバイザーのケーススタディ・テキストとして使ったら、面白い議論ができそうだ。