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友人から勧められ、手に取ってみました。
著名なコピーライター糸井重里さんと行動する物理学者早野龍五さんとの、福島の原発事故に伴う被爆を巡っての考え方、姿勢、行動について対話本です。1,2時間もあれば気軽に読める一冊ですが、考えさせられるところは多いです。
恥ずかしながら、早野さんのお名前は初めて意識しましたが、その意識の高さや行動力に感心しました。あの原発事故直後の情報が錯綜する最中にあって、原子炉の専門ではないものの、科学者として事実を集め、それを分かりやすい形でTwitterで発信する。更に、福島のこどもたちへの被爆量の測定など、できることを具体的な行動に移していく。人として、学者として、地に足がついた強い信念が伝わってきます。
そして、早野さんから話を引き出す糸井さんの聞き上手ぶりも脱帽です。緩く暖かい雰囲気を作りながら、真面目な話題について、踏み込んだ話を引き出しています。これは技ですね。ただ、「科学的に考える力の大切さ」を語りつつも、「早野先生は常に正しい」的なニュアンスが少し感じられたところは、違和感を覚えました。
幸か不幸か、この事故が起こった時、私は海外に在住していたので、当時の日本の雰囲気は実体験がありません。ただ、本書を読んでいて、日本に居たら自分はどんな行動を取ったのだろうか、と考えてしまいました。そして、それは原発事故に限った話では無く、事の大小こそはあれ、いつも周りで起こっていることに対しての姿勢と行動でもあるわけです。いろんな人に読んでほしい一冊です。