その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

新日本フィルハーモニー交響楽団/ ダニエル・ハーディング指揮、ラルス・フォークト ピアノ

2015-07-11 20:30:36 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


ロンドンでは何度も聴いたハーディングさんですが、日本に帰って以降、ここ3年間はご無沙汰でした。そのハーディングさんが全曲ブラームのプログラム、しかもランス・フォークトさんとのコンビでピアノ協奏曲を振ることを知り、いざサントリーホールへ。当日券を購入して参戦しました。新日フィルは2012年の年末第九以来です。

私の耳のウオーミングアップが足りなかったのか、前半戦は今一つ消化不良でした。一曲目の「悲劇的序曲」は昨年12月にドイツカンマーフィルの超骨太演奏が耳に残っていて、新日フィルの演奏はどうも緩い。かといって、精緻なアンサンブルとも言い難く、どっちつかずな印象が拭えません。続いての「ハイドンの主題による変奏曲」も、決して何かが悪いというわけではないのですが、一昨年の秋に聴いたブロムシュテットさんとN響の均整の取れた美しい演奏に比べると特徴に欠けます。ハーディングさんの切れの良い指揮姿は変わってませんが、どうもオケとのマッチングは必ずしもかみ合っているとは言えないような気がしました。

 が、休憩後のピアノ協奏曲第2番はまるで別のオケのような素晴らしい演奏でした。ラルス・フォークトさんは、ロンドンでも何度か、東京でもN響との共演を聴いていますが、相変わらずの変幻自在のピアノ演奏。奇をてらっているところはありませんが、豪柔併せのむとでも言うようなピアノで、聴く者はその変化を楽しみつつ、安心してピアノの音に乗っていることができます。オケも前半とは別人のごとく、集中度と気合を感じる演奏でした。第三楽章のチェロ独奏の美しさ、表現の豊かさも格別で、ピアノを食ってしまうぐらいの存在感でした。こんなチェロ演奏を聴けただけでも、来てよかったと思わせてくれるものでした。

終わってみれば、前半戦の借金を後半戦で返してもらった挙句に、おこずかいまでもらったような幸せ気分。しとしと雨はまだ降り続いていたものの、実に気持ち良くホールを後にすることができました。




7月3日 会場:サントリーホール

#544 定期演奏会

■プログラム
ブラームス作曲 悲劇的序曲 op.81
ブラームス作曲 ハイドンの主題による変奏曲op.56a
ブラームス作曲 ピアノ協奏曲第2番変ロ長調op.83

■出演者

指揮:ダニエル・ハーディング
ピアノ:ラルス・フォークト

3 July at: Suntory Hall

New Japan Philharmonic
#544 Subscription Concert

PROGRAM
BRAHMS Tragic Overture op. 81a
BRAHMS Variations on a Theme of Joseph Haydn op. 56a
BRAHMS Piano Concerto No. 2 in B-flat major op. 83

PERFORMERS
Daniel HARDING, conductor
Lars Vogt, piano
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