ビジネスカジュアルで出社する人の方が増え、めっきりスーツを着る人が少なくなってしまった昨今の私の会社だが、私自身はスーツが大好き。袖を通すと、学生時代に部活動のユニホームを着た時のように、気分が締まる。(これって今の世の中では、完全に昭和オヤジの戯言だよなって自覚は一応あり)
今更、悔やんでいるのは、スーツを着る生活がきっと後半になっていると思うのだが、つい数年前まで、その選び方は全く持って無頓着かつ適当だったことだ。ロンドンで廉価な紳士服店で初めてスーツを仕立てて(驚くほど安かった)、スーツってこういうものなんだと初めて知った。そして、店の人との会話の中で、それまで着てきたスーツは全てオーバーサイズということを知った。出来上がったスーツは、廉価版なりの生地であったものの、サイズ、着心地は、それまで「スーツってこういうものだ」と勝手に思っていた自分の常識を覆すものだった。逆に「なるほど、スーツってこういうものだったのね」って。
本書は、松屋で長年スーツのバイヤーを務めてきた著者が、ビジネスシーンでの紳士服の見方、選び方を指南してくれる。140ページ程度かつ平易な語り口ながら、とても誠実で有用な六十のアドバイスだ。
例えば、スーツのチェックポイントとしては、「ラベル(下衿)のロール(折り返し)部分」、「ショルダー(肩)のライン」、「上衿の首とのフィット感」の3点を見る。また、基本的なワードロープとしては、スーツ3着、シャツ6枚、ネクタイ3本、靴3足。スーツのクリーニングはシーズン1回が基本。などなどである。
タイトルには少し気後れしたものの、図書館の返却コーナーで見つけた一冊は思いがけない掘り出し物だった。今度、スーツを買う機会がますます楽しみだ。
目次
第一章/これだけ読めば、あなたも明日からスーツ通
第二章/よい服を見極めるにはコツがある
第三章/これさえあれば・・・・・ワードローブの基本を押さえる
第四章/スーツは着こなしてこそ、個性が発揮される
第五章/スーパークールビズが日本のドレスコードを破壊する?
第六章/いいものを適正価格で買ったら、長く使おう