その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

映画 「ターナー、光に愛を求めて」 (監督 マイク・リー)

2015-07-18 07:50:34 | 映画


 先月、封切早々に出かけました。

 イギリスを代表する画家であるJ・M・W・ターナー(1775-1851年)の後半生を描いた伝記映画です。私はターナーの大ファンというほどではないですが、誰が見てもわかる独特の画風で描かれた陽の光や波や空には、イギリスの土地や気候に根付いた感性が感じられるところが好みです。

 コベント・ガーデン(ロンドンの中心部)の床屋の息子であったことや大陸にしばしばスケッチ旅行に出かけていたこと、私の好きなジョン・コンスタブルとライバル関係にあったことなどは知っていましたが、その人となり、私生活までは知りませんでしたので、映画はなかなか興味深いものでした。芸術家にありがちなのでしょうが、かなり変わった人だったんですね。ティモシー・スポールがそんなターナーの奇人ぶりをうまく演じていました。

 イギリス美術や美術史に関心のある人には、自信をもってお勧めします。ラファエル前派のサポーターとしても有名なジョン・ラスキンやコンスタブルも映画に登場しますし、当時のロイヤル・アカデミーを中心としたイギリス美術界の空気を垣間見ることもできます。映像も美しく仕上がっており、ターナーの絵の色合いを彷彿させてくれます。

 淡々とゆったりとした展開でストーリーは進むのですが、上映時間の二時間半は全く長く感じません。ただ、この手の話題に興味のない人には、少々辛いかもしれません。西洋美術の好きな人は是非足を運んでください。


スタッフ
監督 マイク・リー
脚本 マイク・リー
エグゼクティブプロデューサー ゲイル・イーガン 、 ノーマン・メリー
プロデューサー ジョージナ・ロウ
撮影 ディック・ポープ
プロダクション・デザイン スージー・デイヴィス
音楽 ゲイリー・ヤーション
編集 ジョン・グレゴリー

キャスト
ジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナー ティモシー・スポール
ハンナ・ダンビー ドロシー・アトキンソン
ソフィア・ブース マリオン・ベイリー
ウィリアム・ターナー ポール・ジェッソン
メアリー・サマヴィル レスリー・マンヴィル
ブース氏 カール・ジョンソン
サラ・ダンビー ルース・シーン
エヴェリーナ サンディ・フォスター
ジョージアナ エイミー・ドーソン
ベンジャミン・ロバート・ヘイドン マーティン・サヴェッジ

コメント (2)
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