ガードナーさんはロンドン滞在時に、イングリッシュ・ナショナル・オペラの音楽監督としてオペラを指揮したのを4作品程聴きました。彼が振ると、ENOのオケがイキイキと張りのある音楽を聴かせてくれたのがとても印象的です。特に、テリー・ギリアムが演出した「ファウストの傲罰」は私のオペラ鑑賞歴でも3本指に入る名演・怪演・奇演。忘れることはないと思います。
そのガードナーさんが都響を振る。しかも本場イギリスプログラムということで、とっても楽しみにして、灼熱地獄の都心、池袋の東京芸術劇場へ行きました。プログラムや夏休み中ということもあってか、お子様連れの家族も多く、会場は満員。いつもより賑やかな雰囲気に感じです。
前半のブリテン、青少年のための管弦楽入門は、昨年ニューヨーク・フィルの来日公演で聴いて以来です。そのときは、サントリーホールの一階中央の特等席だったので、この日の芸劇3階席とは公平な比較ができないのですが、ニューヨークフィルの押しつぶされそうな音圧と繊細さを兼ね備えた横綱演奏とまでは言えないにしろ、都響の演奏もそれに近いとも言える優れたものでした。ちょっと、私自身の立ち上がりが遅かったので、じっくりと味わえたという感じではなかったのですが、個々のパーツの演奏と全体での合奏の迫力の双方のバランスが良かった。
後半の「惑星」は圧巻でした。特に、「火星」の地響きがたつような迫力と厚みのある演奏には、曲の冒頭からいきなり頭を思いっきり殴られたような衝撃。ここ2月ほどで2回海外オケの公演にいきましたが、都響のほうがどう聴いても美しく豊かな音を創っています。「火星」の後も、硬軟、柔豪のメリハリが効いた演奏はすばらしいもので、広い芸劇コンサートホールを宇宙色に染め上げていました。
久しぶりのガードナーさん。相変わらず、大きなアクションで、煽りまくります。ロンドンでは有名人ですが、日本ではどうなんでしょう?単に音が大きいだけでなく、劇場指揮者らしい劇性が加わったダイナミックな音楽には、大いに引付けられます。どのくらいの頻度で来日しているのかは知りませんが、定期的に都響や在京オケを振ってもらいたいものです。
暑さで寝不足の日が続いているのですが、涼しいコンサートホールで、目いっぱいストレスを抜いて、池袋を後にすることができました。
日時:2015年8月2日(日)14:00開演
場所:東京芸術劇場コンサートホール
出演者
指揮/エドワード・ガードナー
女声合唱/東京混声合唱団
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曲目
ブリテン:青少年のための管弦楽入門(パーセルの主題による変奏曲とフーガ) op.34
ホルスト:組曲《惑星》 op.32
"Portrait of Composers" Series Vol.104
Date: Sun. 2. August 2015, 14:00 (13:20)
Hall: Tokyo Metropolitan Theatreseat
Artists
Edward GARDNER, Conductor
Tokyo Philharmonic Chorus, Chorus
Program
Britten: Young Person's Guide to the Orchestra, op.34
Holst: The Planets, op.32