
戦後ドイツの正義感溢れる若手判事の活動を軸に、戦時中のアウシュビッツ強制収容所で行われた犯罪を裁いた「アウシュビッツ裁判」に至るまでの道のりを描く。原題は"Im Labyrinth des Schweigens"で、グーグル翻訳によると「沈黙の迷路で」。
戦後のドイツがナチスによる負の歴史にどう向き合ってきたかの一面を知ることができる映画。私自身、アウシュビッツ強制収容所は訪ねた経験があるものの、恥ずかしながら、1958年のドイツではアウシュビッツは忘れれた歴史になりつつあったことや、アウシュビッツ裁判が始まったのが1963年と終戦後20年近く経とうとしていた頃であったことなどは初めて知った。
負の歴史に向き合うことの難しさ、そしてそれが個人のレベルに落ちれば落ちるほど複雑になることが分かる。主人公の成長物語的にも観ることは可能だが、歴史ドキュメンタリー的な社会派ドラマとして観るのだろう。諸説はあるものの150万人が死亡したとされるアウシュビッツ強制収容所の話なので、必然重い映画であるが、舞台は戦後のフランクフルトであり、残酷シーンがあるわけではないので、少しでもこの手のテーマに関心のある人にはおススメしたい。否が応でも、日本との比較も考えさせられる。
監督:ジュリオ・リッチャレッリ
製作:ヤコブ・クラウセン
ウリ・プッツ
サビーヌ・ランビ
脚本:エリザベト・バルテル
ジュリオ・リッチャレッリ
撮影:マルティン・ランガー
ロマン・オーシン
美術:マンフレート・デーリング
衣装:アンヌ・プラウマン
音楽:ニキ・ライザー
セバスチャン・ピレキャスト
キャスト:
アレクサンダー・フェーリング: ヨハン・ラドマン
フリーデリーケ・ベヒト: マレーネ
アンドレ・シマンスキ: トーマス・グニルカ
ヨハン・フォン・ビューロー: ハラー検事
ヨハネス・クリシュ: シモン・キルシュ