その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

新国立劇場 ラインの黄金 楽劇「ニーベルングの指環」序夜|リヒャルト・ワーグナー

2015-10-18 07:00:00 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


 私にとって初めての「ラインの黄金」鑑賞ということで、期待感一杯で新国立劇場に出かけたのですが、残念ながら必ずしも大満足とは言えなかった公演でした。(最近、感性が鈍って来ているのではないかと、自分のことが少々心配)

 良かったのは、外国人歌手を初めとする歌手陣。これは文句なし。ヴォータンのユッカ・ラジライネン、ローゲのステファン・グールド、ファフナーのクリスティアン・ヒュープナーの外国人歌手は流石の安定した声量と美声。とりわけ、ローゲのグールドが素晴らしく、彼によって舞台が相当引き締まってました。日本人歌手陣も頑張っていて、フライヤの安藤さんのソプラノやラインの娘たちの合唱の美しさも良かった~。

 逆に、ピンとこなかったのがオケと演出。オケはどうだったんでしょうか?初めて聴くオペラなので、私の印象がどこまで的を得ているか分かりませんが、焦点のはっきりしない、散漫な演奏に聞こえてしまいました。ワーグナーを聴いた際の陶酔感や爽快感が生まれて来なかったんですよね。

 演出も良くわからなかったです。全体ではシンプル過ぎず、派手すぎず、伝統的でもなければ、かといって現代的というわけでもない舞台でした。巨人族の消防隊のような衣装や地底の国のセットを見てコメディタッチの演出かと思いきや、全体を通じてはコメディに徹しているわけでは無いです。演出により想像力を掻き立てられたとか、作品の理解に助けになったとか、美しさに引き付けられたというところもなく、私にとっては印象の薄い演出でした。4階席最深部という座席のせいなのかな?

 今まで見たワーグナーのオペラの中では、一番のめり込み度が弱かったのですが、これは作品のせいか、パフォーマンスのせいか、はたまた自分のせいなのか?ワーグナーオペラを観て、こんな思いを持ちながら劇場を後にするのも初めての体験でした。(10月14日)


《いつもの4階4列目。劇場最深部》


2015/2016シーズン オープニング公演<新制作> 
ラインの黄金

楽劇「ニーベルングの指環」序夜|リヒャルト・ワーグナー

“Der Ring des Nibelungen” Das Rheingold | Richard Wagner


指揮:飯守泰次郎
Conductor : Iimori Taijiro

演出:ゲッツ・フリードリヒ
Production : G�・tz Friedrich

美術・衣裳:ゴットフリート・ピルツ
Scenery and Costume Design : Gottfried Pilz

照明:キンモ・ルスケラ
Lighting Design : Kimmo Ruskela

演出補:イェレ・エルッキラ
Revival Director : Jere Erkkil�・

舞台監督:村田健輔
Stage Manager : Murata Kensuke

ヴォータン:ユッカ・ラジライネン
Wotan : Jukka Rasilainen

ドンナー:黒田 博
Donner : Kuroda Hiroshi

フロー:片寄純也
Froh : Katayose Junya

ローゲ:ステファン・グールド
Loge : Stephen Gould

ファーゾルト:妻屋秀和
Fasolt : Tsumaya Hidekazu

ファフナー:クリスティアン・ヒュープナー
Fafner : Christian H�・bner

アルベリヒ:トーマス・ガゼリ
Alberich : Thomas Gazheli

ミーメ:アンドレアス・コンラッド
Mime : Andreas Conrad

フリッカ:シモーネ・シュレーダー
Fricka : Simone Schr�・der

フライア:安藤赴美子
Freia : Ando Fumiko

エルダ:クリスタ・マイヤー
Erda : Christa Mayer

ヴォークリンデ:増田のり子
Woglinde : Masuda Noriko

ヴェルグンデ:池田香織
Wellgunde : Ikeda Kaori

フロスヒルデ:清水華澄
Flosshilde : Shimizu Kasumi

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
Orchestra : Tokyo Philharmonic Orchestra

協力:日本ワーグナー協会
Cooperation : Richard-Wagner-Gesellschaft Japan

芸術監督:飯守泰次郎
Artistic Director : Iimori Taijiro
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