
この夏、映画化されている。「読んでから観る」派の私は、まず原作から。
終戦の玉音放送に至るまでの、最後の1日(24時間)、日本の中枢部にいた指導者達の行動を描いたノンフィックション。2つの意味で興味深かった。
一つは、終戦に向けた舵取りを迫られた日本の指導者たちの行動。「なぜ、あそこまで引っ張ってしまったのか?」という当時の日本の指導者達への疑問、批判は避けられないが、それをもってしてもあそこまで追い込まれた中で、一国の存亡をかけて、各指導者達がとった決断、行動は緊張感に溢れるし、敬意を表するべきだろう。
もう一つは、歴史の偶然性。終戦の歴史も一歩間違えば、大きく異なったものであることを強く感じる。御前会議で天皇の聖断が下ったからと言って、戦争が終わるほど現実は簡単なものでは無かったこと。一部の青年将校たちがとったクーデターの試みも、大規模化により終戦プロセスにブレーキをかけ、日本の行く末を変えた可能性も十分あったということを知った。
日本人として是非、読んでおくべき一冊だと思う。また、映画館での上映は終わってしまっているようなので、DVDで観るしかなさそうだが、この原作がどう映像化されているのかも大変興味深い。