その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

2016夏 2つの台風にぶつかった道東旅行 1日目 @釧路

2016-08-20 12:51:13 | 旅行 日本
 海外は何かと物騒なので、今年の夏は国内で楽しむことにしました。行先は迷った挙句、私にとっては未踏の地、道東地方に。前週の天気予報はお日さまマークが連なっていた北海道でしたが、この週の予報は近づいている台風の影響で傘マークと曇りばかり。荷物チェックインのご案内では「釧路便は、天候の状況で、千歳に着陸か、羽田に引き返す可能性があることを、ご承知の上でご搭乗ください」とのこと。


《機内から眺め。北海道が見えてきました。まだ青空の中ですが》


《釧路に近づくに従って曇り空に》

【釧路湿原 釧路市湿原展望台】
 釧路に着いたら、いつ雨が降り出してもおかしくない曇り空。「雨の降りださないうちに・・・」、とはやる気持ちが先立ちます。車を借りて、さっそく釧路湿原へ。まず、訪れたのは湿原の西側に位置する釧路市湿原展望台。晴れた日なら屋上の展望台から湿原が一望できるらしい。ただ、ボランティアガイドのおじさんが、「今日は霧で上ってもよく見えないよ。遊歩道を歩いてサテライト展望台まで行ったら。」と勧めてくれたので、1キロほど離れたサテライト展望台へ。

 展望台へは整備された木道に沿って、林の中を行きますが、蒸し暑さのためか、蚊が凄い。ちょっと立ち止まると足元に蚊の大群の襲来を受けるので、競歩状態で目的地へ。10分も歩くと、ぱっと視界が開けました。素晴らしい眺望です。ここまで湿原が広がる風景を目にするのは初めて。


《林の中を通って展望台へ向かいます》


《サテライト展望台からの眺め》

 天気が良ければ湿原内のウォ―キングとかを考えていたのですが、雨が降り出したため断念。車で湿原の外周を廻ることに。どんよりした天気とはいえ、久しぶりの北海道の広々とした風景の中でのドライブは気持ちがいいです。途中、雨が強くなったり、舗装されてない道もあり、けっこうワイルド。


《こんな感じの道も数キロほど》

【釧路湿原 細岡展望台】
 最初に訪れた展望台とは湿原挟んで反対の東側に位置する細岡展望台へ。こちらは釧路川が蛇行しながら流れるのが見え、景色もより変化があります。リッチモンド・ヒルからテムズ川を眺めるのと雰囲気は似てますが、広大さで圧倒的に釧路湿原の勝ち!(あたりまえか)


《こちらも絶景。青空だったら、もっと緑も映えるのでしょうね》

 この釧路川をカヌーで下ったりするのも、湿原の楽しみ方の一つであるようですが、時折ワイパーを最速モードにしなくてはならないような雨状況では、そんなアトラクションも困難。早めにホテルにチェックインしました。

【釧路市街ぶらぶら】
 ホテルで一休みした後は、夕食目指して、釧路市内を徘徊。8月も中旬を過ぎると観光客も減るのか、残念ながら街中は決して活気のあるという印象は受けませんでした。衰退する日本の地方を目の当たりにしている印象です。(もっと、私が訪れているのはいわゆる市の中心部なので、衰退化ではなくドーナツ化現象かもしれません)

 観光ポイントであり、ランドマークでもある釧路フィッシャーマンズワーフMOOにも残念感が漂います。1989年(平成元年)7月に民活法適用の第一号として開業した複合商業施設ですが、お土産物屋やレストラン等が入った入居テナントも虫食い状態で、空きスペースに市の事務所が入るという状況。誰が悪いのかというのは差し置いても、ただお金を使って箱モノを建てても地方創生には全くならないという典型事例です。


《夕食時前という時間が悪かったのか、随分寂しい釧路フィッシャーマンズワーフMOO内》


《観光名所の幣舞橋(ぬさまいばし)と釧路川沿いの遊歩道。風情のあるたたずまいですが、人通りの少ない中、地元の演歌がスピーカーから流れるのは、寂しさを一層引き立てます》

 そうした寂しい釧路市街ですが、夕食に入った有名な炉端焼店「炉ばた」の食事は絶品でした。薄暗い店舗内には、炉端番のお婆さんを取り囲むように、お客が陣取ります。シーズン初めのサンマの刺身・焼き物、東京では食べられない大きさのホッケのおいしさはもちろんのこと、シシャモや野菜・シイタケ焼も絶品。値段が一切表示されておらず、すべて時価ということで、少々懐は心配になりますが、新橋価格の3割増しぐらいの感覚で、観光飯としては許容範囲。味・雰囲気の両方が楽しめます。(旅行ガイドでは目安予算一人2500円とありましたが、これは無理があります。満足いくぐらい食べたら、倍ぐらいします)


《あのお婆さんも仕掛けの一つのような気が・・・》


《これは旨い!》

 でも、ここに再生のヒントがあるのでしょうね。お金を使ってハードを建てても、その中身が伴わなければ、いつしか客は来なくなるし、メンテ代だけがかかる。一方で、ソフトで希少性、雰囲気が出せれば、多少高くとも、お金払ってまた来たくなる。ソフトにどれだけの知恵が出せるかが、勝負なのでしょう。

 湿原、北海道でも有数の水揚げ漁港、ラーメン等、魅力的な資源はあるはずです。東京人の私が言うのははなはだ不遜なのでしょうが、そうした資源をどうプレゼンテーションしていくのが良いのか、雨のおかげでエネルギーを持て余した私はいろいろ考えてしまいました。

 2016年8月15日
 
コメント (2)
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