その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

2016夏 2つの台風にぶつかった道東旅行 2日目 @釧路~清里町

2016-08-21 14:01:37 | 旅行 日本
 ※私が訪問した時期以上に、北海道の降雨とその被害が大きくなっているようです。これ以上、被害が拡大しないことを祈るばかりです。

 2日目も朝から雨。台風6号は根室の東沖に去って温帯低気圧になったらしいですが、雨雲は置いてきぼりとなって、天気予報は1日雨。天気が良ければ、朝から摩周湖、屈斜路湖と言った道東観光の王道コースを行く予定でしたが、まあ行っても雨と靄で何も見えないだろうし、大雨の中、山道ドライブも気が進まないので、朝は釧路でゆっくりすることにしました。

【和商市場】
 雨の中、ホテル近くの釧路名所、和商市場へ。お店お店で好きな海鮮の具をばら買いしてどんぶりご飯の上に載せて食べる勝手丼が名物です。私は、前夜に夜食で食べたラーメンがもたれて、見学に専念。1皿・一枚100~400円で、どんぶり一杯に載せるとそれなりの金額になってしまいそうですが、自分で創っていくのが楽しそうです。


《みなさん何を載せるか思案中》

 市場内は、勝手丼の食堂のほか、鮮魚や乾物、果物や、お土産屋など60店舗ほどが入っています。ブラ歩きにはもってこいの場所。

 10時近くにホテルを出て、郊外の焼き物屋さん「鮭番屋」でブランチ。昨夜、サンマがおいしかったので、ここでもサンマ。ラーメンも消化し終わった様なので、いくら丼を追加。おいしかった。


《目の前の炭火で焼くので暑い。おじさんが順番に見回って、焼き具合を調整してくれます》

 腹ごしらえも済んだので、釧路を出発。2日目の最終目的地は斜里郡清里町。ルートはいくつか取れますが、牧場コースとして道も比較的真っ直ぐな国道272号線(通称、ミルクロード)を選択し、中標津方面に向かいました。ただ、ひどい雨で北海道らしさも味わえず、ひたすら車を走らせることに。中標津では、北海道ツーリングライダーの聖地とも言われる開陽台にも立ち寄りましたが、想定通りの風景。晴れた日には野付半島や国後島まで見渡せ、地平線が丸く見えるという標高271mの丘も、天候には勝てません。涙・・・。


《こんな感じの雨》


《開陽台の展望台からの眺め》


《晴れたらこんな感じらしい・・・》

 昼下がりから少し雲が切れ始めました。道道150号線で摩周湖の裏を通って、清里峠を抜けます。峠越えといっても、道は真っ直ぐなのがうれしい。清里峠を少し下ったところで、摩周湖の伏流水でできているという神の子池に立ち寄りました。

【神の子池】
 澄んだ水とコバルト色に輝く池の底は、見ていると引き込まれそう。水深5mあるとのことですが、底まで見渡せ、とてもそんなに深いようには見えません。魚の泳ぐ姿もはっきりとわかります。池に浸る倒木も計って置いたのではと思わせるほど、神秘的に倒れてます。

 宮崎駿のアニメ『もののけ姫』にでも出てきそうな、千年、二千年も前からあったような風景に魅せられます。朝からの雨ドライブでイラついた気持ちも、これですっかり落ち着きました。


《私の写真ではうまく捉えきれないのが残念》


《魚も気持ちよさそう》

 清里町に入り、平野部に。車を走らせていると、草原の地に鹿の親子を発見。車を止めたのですが、ドアを閉める音で気づかれました。こちらの姿をちら見しては、少しづつ遠ざかっていき、最後は走って逃げて行かれました。少しの時間でしたが、親子の鹿が走る様は何とも美しいです。


《逃げる鹿の親子》

 そして、この日のハイライトとなったのは偶然に立ち寄った斜里川のさくらの滝。ガイドブック添付の地図に、8月頃までは産卵のために川に戻ったサクラマス(海を渡ったヤマメが大きく成長してサクラマスになるそうです)の滝上りが見られるという記載があり、立ち寄ってみました。

【さくらの滝】
 ここ数日の雨の影響か、すごい数量の水が、ごうごうと流れていきます。すると直ぐに、サクラマスが川に上って跳躍しているのが分かります。NHKのテレビなどでサケの川上りは見たことあるものの、実際に目にするのは初めて。魚たちの自然に立ち向かう姿に純粋に感動します。



 が、しばらく見ていると、流れの勢いのせいか、上りきるサクラマスは一匹たりともいないことに気づきます。次から次へと跳躍するのですが、どれも残酷に強い水流に戻されるばかり。高さ2メートルほどの滝ですが、多くの魚は半分を少し行ったぐらいで戻されます。「今日は水量が大いのだろうからは、無理せず、滝つぼの脇で休んでいた方が良いのでは?体力の無駄使いはやめ、明日以降チャレンジした方が良いよ」と心の中で叫ぶのですが、そんな呟きは通じるわけがありません。



 だんだん、とても見ていられなくなってきました。自然の摂理とは言え、私の目には、力絶えるまで跳び続けるサクラマスはあまりにも残酷すぎる自然でした。久しぶりに、無条件に胸押しつぶされる経験でした。



 清里町の宿には15:30頃、到着。ホテルの人に伺うと、通常でも100匹に1匹ほどしか、滝登りには成功しないとのこと。上れなかった魚は力尽きて死んでしまうそうです。厳しいんだなあ。

 2016年8月16日
コメント
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