年末に1年の骨休めに箱根に行ってきました。私の箱根お気に入りスポットであるポーラ美術館で、「ルソー、フジタ、写真家アジェのパリ」と題したパリ所縁の画家たちが描いた(撮った)パリの特別展をやっており、とても興味深いものでした。
副題に「境界線への視線」とあるように、かつて城砦都市であったパリの周縁を中心に、19世紀から20世紀にかけて、都市がどう発展し生活者の暮らしがどうだったかのかという切り口で、作品が紹介されます。都市学的な視点で再構成された展示は、個々の芸術作品そのものの魅力を超えて、新たな視点を与えてくれます。
私が特に興味を引かれたのは、フジタが様々なパリの職人たちを描いた15cm四方程度の小画面の連作「小さな職人たち」。イラスト風にパリの庶民の働きぶりが描かれているのですが、フジタのあたたかな眼差しを感じます。また、滅多に写真展には行かない私には、リアリズムあふれるアジェの写真も印象的でした。
レオナール・フジタ(藤田嗣治) 《古着屋》 1958年
採光たっぷりで、開放感あふれる空間もリゾート感一杯で、リラックスして作品に向かい合えるのも、この美術館ならではの良さです。3月3日までの開催です。
2016年12月30日訪問