またしても巨大美術マーケット東京の恩恵に預かった。アルフォンス・ミュシャによる6メートル×8メートル級のキャンバスに描かれた《スラヴ叙事詩》全20点がまとめて展示されるのは、チェコ国外では世界で初めてという。
入り口を抜けると、広い空間を取り囲んで《スラヴ叙事詩》の絵が展示してある。実に大きい。「原故郷のスラヴ民族」から始まって「スラヴ民族の賛歌」にいたるまで、スラブ民族の歴史が1枚一枚描かれる。まさに歴史絵巻。民族の自立、ドイツやトルコなど他民族との抗争、宗教改革と戦争、ロシア農奴制廃止など欧州大陸の中央で、厳しい歴史を歩んできた民族であることが実感できる。民族の苦難と誇りを感じる大作は、見る者の胸を撃たないわけがない。
平日の午前中というのに、会場は大混雑だった。ただ、絵が大きく、展示区間を自由に動けるおかげか、あまり混雑は感じない。自分のペースで鑑賞することができる。スラブ叙事詩に加えて、展示の後半では、ミュシャらしいアール・ヌーヴォーのポスターやリトグラフなども見ることができる。
あと閉幕まで1週間を切ってしまったが、間違いなくこれは必見の展覧会。まだの人は急いで!
写真撮影可のエリアがあります。
《ロシアの農奴制廃止》
《スラブ民族の賛歌》
《イヴァンチェの兄弟団学校》の一部。聖書を盲人の老人に読み聞かせているのはミュシャ少年らしい。
《構成》
スラブ叙事詩
I ミュシャとアール・ヌーヴォー
II 世紀末の祝祭
III 独立のための闘い
IV 習作と出版物