村上春樹の小説には、学生時代にどっぷりはまったましたが、ここ10年くらはエッセイとか対談は読んだけど長編小説はすっかりご無沙汰でした。久しぶりに読んだ村上作品は、氏独特の村上ワールド満載で、場所・時間を忘れて没頭しました。メタファー、冒険、地下世界、音楽、sexなどなど、村上ワールドの構成物がてんこ盛りの物語です。
地に足が着かない浮揚感、現実的にあり得ない話なのに、不思議なリアリティを感じる世界。本は閉じても、なかなか自分の中の心象世界は、本の世界から離れられない。文体はライトだけど、描かれる世界は決してライトではない。
本書の読書期間中はほとんどスマートフォンを触れることはありませんでした。自分にとっては、SNSの世界を追いかけるよりも、良質な物語を追いかけるほうが、明らかに人生の充実感を感じることができるということを認識させされた1週間でした。