その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

鳥飼 玖美子 『本物の英語力』  (講談社現代新書、2016)

2017-10-18 07:30:00 | 


 いったい、いくつになるまで英語に時間(とお金)を費やすのか?我ながら、自分に呆れてしまう。それでも、もっとしっかり、正確に意思疎通したい、言い負かされないようになりたい・・・という欲は止まない。

 本書は英語力そのもの、学習法、実践への活用などの英語の諸側面について、エッセイ風に筆者の考えをまとめたもの。単語はコンテキストで理解する、ハチャメチャ英語と完璧主義の間を目指す、英語のスキル習得を目指すのではなく何かを英語でという内容重視の学習が良い、ライティングは英語的論理構成で書けるかが重要など、首肯できる指摘が多い。

 個人的に一番興味を持ったのは、江戸時代の長崎の通詞(世襲制で通訳を職業とする人)たちの英語学習法。現代と違い学習リソースが全く限られていた彼らの勉強は、私たちとは全く違った苦労があったようだ。吉村昭氏の小説に、彼らを取り上げたものがあるようなので、是非読んでみたい。
 

《目次》
第1部 英語は基礎力―発音、語彙、コンテクスト、文法
「なんで英語やるの?」
「発音」は基本をおさえる―「国際共通語」はハチャメチャ英語ではない
先立つものは「語彙」
「コンテクスト」がすべてを決める
話すためにこそ文法

第2部 英語の学習法―訳す、スキル、試験、デジタル、そして映画
訳すことの効用
英語はスキルか内容か
英語力試験にめげない、振り回されない
デジタルと英語教育
映画で英語
長崎通詞の英会話習得法

第3部 英語の実践―語学研修、留学、仕事
英語を書く
語学研修と留学
仕事に使える英語
英語学習は未知との格闘
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする