
「日本型グローバル人事を明らかにしていく」という本書の問題意識に共鳴し、手に取ってみた。筆者は、欧米型でも日本型でもない第3の道を8社のグローバル企業の人事担当者と一つの大学の研究室へのインタビューを通じて明らかにしようとする。
結論として、筆者は「第3の道」に重要な3つのポイントを上げる。
①人事と経営が一体化して、空間的な視野をグローバルに持つことはもちろん、時間的な視野を持ち「未来を見ること」
②全世界で通用する共通化され、透明性のある「基準」が必要
③組織力を高める
そう簡単に答えなどでないことは誰にも分かっているが、この結論はちょっと一般化されすぎていて、迫力に欠ける感は否めない。人事とは、各社の事業戦略、組織カルチャ、業界構造と密接に結び付いた個別性の高いものであるから、理解はできるが抽象度が高まった途端に絵に描いたお餅的に見えてしまう。
そういう意味では、語りつくされていない不満は残るものの、各社の人事担当者のインタビューの方が具体的で、首肯できる点は多い。各社のインタビューを踏まえて、自分の頭で考えることが良さそうだ。
目次
【はじめに】
【第1章】グローバル競争から取り残された日本企業の人事
・最もグローバル化が遅れた日本人の「人」と「人事」
・孤立した日本企業の人事
・グローバル化の機会を逃した80年代 ほか
【第2章】「日本の伝統的人事」でもなく「海外企業のモノマネ」でもない
日本企業の「人事が目指すべき「第3の道」はあるのか?
・「日本的人事」という特異なシステム
・日本企業の人事のグローバル化は不可能?
・日本の会社員の大きな「謎」 ほか
【第3章】「経営と一体化」した人材マネジメントを実行する
・現地での緻密なコミュニケーションがグローバル化を支える―コマツ
・経営と事業に寄り添う人事を実現するために―コニカミノルタ
【第4章】社員のパフォーマンスを最大化し、グローバル人材を育成する
・人材管理ではなく「人に活力を与えること」が人事の役割―LIXILグループ
・「共感力」と「説明力」を兼ね備えた人材を育成するきめ細やかな仕組み―BASFジャパン
・採用から育成までを一つのフィロソフィーで貫く―スターバックスコーヒージャパン
・自主的な「学び」が人と組織の成長をもたらす―SAPジャパン
【第5章】全体的な組織力をいかに高めるか―グローバル人事に求められる「組織開発」
・「グローバル憲章」によって世界中の社員が活躍する組織になる―ブラザー工業
・人と人とのグローバルな「のりしろ」が一体感を生み出す―堀場製作所
【第6章】「人」を見つめる緩やかなグローバル人事が道を開く
・柔軟で、緩やかで、人間的なグローバル人事を― 一橋大学大学院教授・守島基博氏に聞く
【おわりに】