その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

新国立オペラ/R.シュトラウス 『ばらの騎士』 (指揮:ウルフ・シルマー)

2017-12-10 08:00:00 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


 今年は7月に二期会による「ばらの騎士」を楽しんだばかりで、普通なら同じ年に同じ演目のオペラを観るようなことはしないのだけど、ジョナサン・ミラーの演出ということで、これはMust seeということでお出かけ。

 期待通り、ミラーの舞台は実に上品で、洗練されており、ウイーン貴族の生活を想起させるものだった。オーソドックスなのだけど、古さよりもむしろ現代性を感じる不思議なプロダクションである。音楽と歌が自然に引き立つように作られていて、舞台が変な自己主張をしない。プロダクションこうあるべきと言う感じだった。

 歌手陣はずば抜けた歌唱というものは無かったけど、役柄と言う意味で、元帥夫人のリカルダ・メルベートとオクタヴィアン役のステファニー・アタナソフが良かった。メルベートは気品あふれる佇まいで、元帥夫人の自尊心、気位、哀しさを十二分に表していたし、アタナソフのズボン役ははまり過ぎぐらい似合っていた。あの男っぷりには、男でも惚れる。ユルゲン・リンが演じたオックス男爵も、下衆男ぶりが見事。それにしても、トランプ大統領ってオックス男爵そのものだな。

 オケは1幕は管楽器が精彩に欠いた感があったけど、尻上がりに調子を上げた。ただ、全般的にオケと歌のバランスが悪い(オケの音が大きすぎ、または歌手のパワー不足)と感じられたのは残念。

 改めて、この作品は、音楽の美しさが群を抜いていることを実感した。オケや歌手に多少の不満はあっても、この作品全体の中では大きな問題ではない。3幕のラストの三重唱などはまさに涙涙だ。今年最後のオペラを締め括るのにふさわしい作品だった。


スタッフ
指 揮:ウルフ・シルマー
演 出:ジョナサン・ミラー
美術・衣裳:イザベラ・バイウォーター
照 明:磯野 睦
再演演出:澤田康子
舞台監督:大澤 裕

キャスト
元帥夫人リカルダ・メルベート
オックス男爵ユルゲン・リン
オクタヴィアン:ステファニー・アタナソフ
ファーニナル:クレメンス・ウンターライナー
ゾフィー:ゴルダ・シュルツ
マリアンネ:増田のり子
ヴァルツァッキ:内山信吾
アンニーナ:加納悦子
警部:長谷川 顯
元帥夫人の執事:升島唯博
ファーニナル家の執事:秋谷直之
公証人:晴 雅彦
料理屋の主人:加茂下 稔
テノール歌手:水口 聡
帽子屋:佐藤路子
動物商:青地英幸


合唱指揮:三澤洋史
児童合唱:TOKYO FM 少年合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
合 唱:新国立劇場合唱団


20th Anniversary Production
Der Rosenkavalier

Staff
Conductor Ulf SCHIRMER
Production Jonathan MILLER
Set and Costume Design Isabella BYWATER
Lighting Design ISONO Mutsumi

Cast
Die Feldmarschallin Ricarda MERBETH
Der Baron Ochs auf Lerchenau Jürgen LINN
Octavian Stephanie ATANASOV
Herr von Faninal Clemens UNTERREINER
Sophie Golda SCHULTZ
Marianne MASUDA Noriko
Valzacchi UCHIYAMA Shingo
Annina KANOH Etsuko
Ein Polizeikommissar HASEGAWA Akira
Der Haushofmeister bei der Feldmarschallin MASUJIMA Tadahiro
Der Haushofmeister bei Faninal AKITANI Naoyuki
Ein Notar HARE MASAHIKO
Ein Wirt KAMOSHITA Minoru
Ein Sänger MIZUGUCHI Satoshi
Eine Modistin SATO Michiko
Ein Tierhändler AOCHI Hideyuki

Chorus New National Theatre Chorus
Orchestra Tokyo Philharmonic Orchestra


コメント
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