その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

特別展「仁和寺と御室派のみほとけ-天平と真言密教の名宝-』 @東京国立博物館

2018-03-09 08:00:00 | 美術展(2012.8~)


 実に充実した企画展で、私にしては珍しく会期中に前半と後半に1回ずつ計2回足を運んだ上に、図版まで買ってしまった。

 恥ずかしながら仁和寺という京都の寺は初めて知った。建立した宇多法皇以来、仁和寺は天皇家ゆかりで、ここを総本山として全国約790箇寺で形成される真言宗の一派を形成している。この展覧会が凄いと感じたのは、その仁和寺の秘宝の仏像や宝物を多数展示しているだけでなく、御室派と呼ばれる全国の寺から、普段は公開されない秘仏像らを惜しみなく展示しているところにある。

 展示後半のこれでもかと言わんばかりの仏像パレードの迫力にはただただ圧倒される。一つ一つの仏像から発出されるアウラがすさまじいので、観る方もエネルギーがいる。時間をかけて一つ一つ丁寧に見たいのだけど、集中力の勝負だ。

 会期後半から展示された葛井寺の国宝・千手観音菩薩像は展示の目玉だけあって、死ぬまでに一度は観ておきたい仏像とはこのことだろうというぐらい、精巧な作りで彫られた千本の手の異様さもさることながら、観音様の静かで平和な表情に癒される。一つの宗教体験とまでいえそうだ。


⦅仁和寺の観音堂を展示室に再現!このコーナーは写真撮影可能⦆







 前半は書とか絵が中心。弘法大師空海直筆の「三十帖冊子」が展示してあったのも感動だった。ただ、薄学の私には、小さくこちょこちょと書いているようにしか見えない空海の書の良さは、理解できなかったけど・・・。

 今回の展示の多くが、所蔵の寺などでは、普段は非公開になっていることが多いとか。紙と木の文化である日本では、止む得ないこととは思うが、あまりにも勿体ない。もう少し日本の貴重な文化財を広く公開することは出来ないものなのだろうか。

 今週末で会期終了なので、まだの人は急いで。

 最後に蛇足だが、2回目の来館は夜間開館を狙ったが、夜間開館は9時までなのは本当にありがたかった。

コメント
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