私にとっては名前は聞いたことこそあるものの、その楽曲には全く馴染みのないアメリカの作曲家3名の音楽で固めた実にユニークなプログラム。未知の音楽についていけるか、かなり不安な気持ちで席に着きましたが、席を立つ時には充実感と感謝の気持ちで一杯となった演奏会でした。
一番印象的なのは、なんといっても広上さんの指揮ぶりですね。観客席からの風景ですので、顔芸まではわかりませんが、狭い指揮台を動き、飛び跳ね、腕も左右上下に縦横無尽に3次元・4次元で活用する指揮姿は、よくもまああれだけうまく曲に合わせて踊れるものだと感心しきり。そして、そのダイナミックというかコミカル(失礼します)な指揮にかかると、複雑そうな作りの音楽も、実に明瞭に、分かりやすく聴えてくるから不思議です。小骨ばかりの魚が、きれいに骨が除かれ、捌かれるさまを見ているよう。
2曲目のオルガンを弾いた鈴木優人さんやプログラムを通してN響のソロ、アンサンブルも素晴らしかった。曲自体は初めてなのでまとまった感想は書けないのがですが、コープランドの「オルガンと管弦楽のための交響曲」は、滅多に使われないNHKホールのオルガンがホール一杯に響きその雄大さにうっとり。更に、アンコールのバッハでは、鈴木さんの真骨頂という様で、ここでもオルガンの響きを堪能しました。
後半のアイヴズの交響曲は様々な旋律が展開し、ワクワクです。曲自体は聴くのは初めてですが、どこかで聞いたことがあるようなフレーズがいろんなところで顔を出します。チェロのソロ、N響の一糸乱れぬアンサンブルが美しい。
この日は、プログラムのせいか、私のN響歴の中でも珍しいほどの不入り。パット見、7割弱ぐらいの入りだったでしょうか?しかし、私は「今回欠席は来れなかった人は残念でしたねえ。滅多に聴けない曲を聞き逃してしまいましたよ」と言いたい。私自身も自分からこの演目の演奏会を購入するのはちょっとハードル高いので、今日の不入りは分かる気がしますが、今回はえり好み困難な定期会員で良かったと心底思いました。
第1899回 定期公演 Aプログラム
2018年11月24日(土)
NHKホール
バーバー/シェリーによる一場面のための音楽 作品7
コープランド/オルガンと管弦楽のための交響曲
アイヴズ/交響曲 第2番
指揮:広上淳一
オルガン:鈴木優人
No.1899 Subscription (Program A)
Saturday, November 24, 2018
NHK Hall
Barber / Music for a Scene from Shelley op.7
Copland / Symphony for Organ and Orchestra
Ives / Symphony No.2
Junichi Hirokami, conductor
Masato Suzuki, organ