その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ビゼー「カルメン」 @新国立劇場

2018-11-24 08:00:00 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


 久しぶりの「カルメン」です。2年前にデュトア、N響による演奏会方式の素晴らしい公演を聴きましたが、カルメンはやっぱり舞台付きがいいです。

 ただ今回、4幕(3幕2場?)が始まるまではモヤモヤしながら見ていました。カルメン役のジンジャー・コスタ=ジャクソンのはまり役ぶりには感心したものの、主要役柄を占める外国人歌手陣がどうもパンチ不足。有名どころの曲が並ぶ音楽の演奏もありきたりな印象で、訴えるものが強くない。が、第4幕のカルメンとホセのやりとりは舞台の緊張感と歌唱の迫力が満点で、引き込まれました。結果、終わりよければすべて良しということで。

 「「新世代のカルメン歌い」と世界中から熱い視線を浴びる」とHPで紹介されていたコスタ=ジャクソンは確かにその美貌とワイルドな演技はカルメンそのもので、目を魅かれました。歌唱の表現力や声量はもう一歩に感じましたが、これからが期待されます。
ホセ役のオレグ・ドルゴフは伸びやかなテノールなのですが、こちらは演技の動きがもう一つ。ただ、4幕はなかなか気持ちの入った迫真のパフォーマンスだったので、出し惜しみしていたのかな?
ミカエラ役の砂川涼子さんは可憐さが、待つ女ミカエラにぴったりでした。歌唱も美しいソプラノで、今回の主要歌手陣の中では一番安定していた印象です。
合唱団はいつも通り安定した美しさが引き立っていました。

 演出は非常にオーソドックスなものでしたが、スペインの雰囲気が良く表れていました。4幕のカルメンとホセに焦点を集中させる舞台造りはとても効果的だったと思います。

 ジャン=リュック・タンゴー指揮の東フィルの演奏は、冒頭の前奏曲、4幕のクライマックスでは溌溂として盛り上がりを見せていましたが、全般的には平均的な演奏で、期待値を下回り残念。

 初日ということで回を重ねて良くなっていくことを期待したいです(まあ、それではいけないのでしょうが)。

2018年11月23日 @新国立劇場オペラパレス

スタッフ
指揮:ジャン=リュック・タンゴー
演出:鵜山 仁
美術:島 次郎
衣裳:緒方規矩子
照明:沢田祐二
振付:石井 潤
再演演出:澤田康子
舞台監督:斉藤美穂

キャスト
カルメン:ジンジャー・コスタ=ジャクソン
ドン・ホセ:オレグ・ドルゴフ
エスカミーリョ:ティモシー・レナー
ミカエラ:砂川涼子
スニガ:伊藤貴之
モラレス:吉川健一
ダンカイロ:成田 眞
レメンダ―ド:今尾 滋
フラスキータ:日比野 幸
メルセデス:中島郁子

合唱指揮:三澤洋史
合唱:新国立劇場合唱団
ダンサー:新国立劇場バレエ団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

Staff
Conductor Jean-Luc TINGAUD
Production UYAMA Hitoshi

Set Design SHIMA Jiro
Costume Design OGATA Kikuko
Lighting Design SAWADA Yuji
Choreographer ISHII Jun

Cast
Carmen Ginger COSTA-JACKSON
Don José Oleg DOLGOV
Escamillo Timothy RENNER
Micaëla SUNAKAWA Ryoko
Zuniga ITO Takayuki
Moralès YOSHIKAWA Kenichi
Le Dancaïre NARITA Makoto
Le Remendado IMAO Shigeru
Frasquita HIBINO Miyuki
Mercédès NAKAJIMA Ikuko

Chorus New National Theatre Chorus
Dancers The National Ballet of Japan
Orchestra Tokyo Philharmonic Orchestra

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする