その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

映画〈グリーン・ブック〉(監督:ピーター・ファレリー )

2019-11-09 08:43:17 | 映画

才能と名声を得た黒人ピアニストとその彼のコンサートツアーの運転手兼ボディガードとなったイタリア系アメリカ人の2人の交流を描くロードムービー。実話にヒントを得た作品で、タイトルは黒人専用の旅行ガイドの名前に由来しているとのこと。出張帰りの飛行機で視聴。

「とってもいい映画」という一言に尽きる。社会階層、教養、人種の違いを超えた友情、違いを認めることで生まれる個人としての成長、黒人差別が合法であった60年代アメリカ社会など、個人・人間関係・社会が美しい映像をベースに描写される。まあ、天邪鬼的に言えば出来過ぎ感はあるが、素直に楽しみたい。

映画自体は十分に楽しめるものだが、私はむしろ今のアメリカを思い、暗くなったところもある。この映画で描かれるように人種差別が当たり前だったアメリカは、その後、黒人大統領を持つまでにもなったにもかかわらず、今の大統領は差別、分断を煽るような発言を続け、それが一定の支持を受けている。時計の針が逆向きに動いているようにしか見えない。


監督:ピーター・ファレリー
脚本:ニック・ヴァレロンガピーター・ファレリーブライアン・クリー
出演者:
ヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ、リンダ・カーデリー、ニドン・スタークほか

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