その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

高幡不動尊に見仏

2020-03-18 07:30:30 | 旅行 日本


〈シンボルの五重塔〉

 

コロナウイルスの感染防止で人出のあるところは避けるようにしているが、かといって一日家にいるのも退屈なので、先月の連休中日に車で都下を徘徊した。その前週は府中に行ったが、更に西に向かい日野市の高幡不動尊(正式名は高幡山明王院金剛寺)なるお寺を訪ねた。もちろん見仏目的である。

 

パンフレットによると、真言宗智山派別格本山で古来関東三大不動の一つに挙げられているとのこと。(Wikiによると、関東三大不動と言うのは、成田山新勝寺とこの高幡不動尊の2つは確定なのだが、3つめは不動ヶ岡不動尊、大山不動尊などなど諸説あるらしい)。奈良時代からの由緒ある寺院(寺のHP曰く「草創は古文書によれば大宝年間(701)以前とも或いは奈良時代行基菩薩の開基とも伝えられるが、今を去る1100年前、平安時代初期に慈覚大師円仁が、・・・不動明王をご安置したのに始まる。」)であるのに加えて、新選組副長土方歳三の菩提寺でもある。

 


<仁王門(重要文化財)室町時代>

 

 

丘陵を背に展開されている境内は広く、自然豊かな環境で、「へえ~、こんなところが多摩地区にあったのね」と少々驚かされる。参拝客がひっきりなしに出入りし、境内の内外には出店もあって賑やかだ。まずは、入り口の重要文化財の仁王門をくぐり、これまた重要文化財で東京都最古の文化財建造物というの不動堂でお参り。そして、早速、目的の奥殿(寺宝殿)へ。

 


不動堂(重要文化財)鎌倉時代>

 

入り口で300円支払って、中に入ると想定を遥かに上廻る充実の展示に小躍りした。最初の仏像は、平安時代中期の木造・大日如来像(市指定文化財)。腐食が進み表面がボロボロになりかかっているが、その分魂が内側に秘められた感じがする。仏像内に保存してあった南北朝時代の武士の手紙(像内文書)や室町時代の勧進帳(重要文化財)なども興味深い。後半は、土方歳三の縁か、幕末・維新期の歴史的人物の書や手紙が展示されていて、これも維新好きの私には狂喜。土方らの手紙(代筆らしいが)、榎本武揚が勝海舟にあてた手紙、徳川慶喜の書などの展示がある。

 

そして、最後の部屋が平安時代作の不動妙像。大きいし、平安時代とは思えない保存状態の良さだ。とっても怖く、目を合わしていられない、迫力の不動妙である。更に引き立てているのは、両脇の矜羯羅童子(重要文化財)と制吒迦童子(重要文化財)。どちらも平安時代のものだが、とっても可愛らしくてポーズがユニーク。近寄り難い不動妙よりもこちらの方が気になってしまう。


<不動明王像 (重要文化財)平安時代>

 

これで300円で良いのかと思うぐらいの充実の奥殿を離れ、更に境内を奥に進み、総本堂である大日堂にも立ち寄る。入り口で200円払って、中に入ると、昨夏富良野で入った後藤純夫画伯の襖絵がある大きな内陣がある。更に、仏殿には虹梁に竜が彫ってある鳴り龍天井もある。土方歳三の位牌も置いてある。

 

 

この高幡不動尊が面白いのは、この境内の一部ともいえる裏山に四国八十八ケ所巡拝を模した山内の巡拝コースが整備されていることだ。中世には、山の頂上には高幡城なるものがあったらしく、確かに上ってみると日野、立川、府中一体が見渡せ、城を築くには絶好の地であることが分かる。88の小仏様の巡礼までは流石にしなかったが、プチハイキング気分を味わえるこの裏山はちょっとした自然のアトラクションである。

 


<こういう石仏が88体裏山のあちらこちらに配置してあります>

 


<高幡城址から北(立川の方)を望む>

 

一通り巡って約2時間ちょっと、半日の東京都下散歩にお勧め。

 

 <土方歳三の銅像もあります>

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