その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

映画 「日本の一番長い日」(監督:原田眞人、2015年)

2020-04-15 07:30:00 | 映画

コロナウイルス感染防止のStay Homeで、読書や映像を見る時間が増えている。何年か前に半藤利一氏の原作を読んだ『日本のいちばん長い日』の映画版を視聴した。

原作は、1945年8月14日から終戦日の15日正午まで、陸軍青年将校のクーデータ宮城事件を中心に記述されているが、本映画は終戦において中心的役割を果たした鈴木貫太郎首相と阿波惟幾陸軍大臣の二人を中心に終戦に至るドラマが描かれる。

テンポよく緊張感ある展開で、2時間を超える作品だが、あっという間だった。鈴木総理を演じる山崎努と阿南陸相を演じる役所広司が実力俳優ならではの存在感を発揮している。

一方で、私は原作読んでいたのでどの役者が誰を演じているか分かったが、原作読んでない人は、テンポが速く人物紹介の字幕もないので、鈴木と阿南はともかく青年将校たちは誰が誰だかわからないのではないか。できれば、原作読んでから視聴されることをお勧めしたい。

個人的な印象としては、名演ではあるものの役所が演じる阿南陸相がちょっと「いい人」過ぎる感じがした。あの歴史的局面を終戦まで持って行けたのは、阿南陸相のリーダーとしての力量が大いに寄与していることは間違いなく、原作に描かれた修羅場における苦悩やディレンマは相当だったと思うのだが、映画の数時間でそこまで描き切るのは難しかったようだ。

それにしても、この国としての決断があと半年、いや1年早くできれば、犠牲者はもっと少なかったのにという思いは残る。国家、組織、人の器、プライド、リーダーシップ、家族など、いろんな角度での見方ができる。一人でも多くの日本人に観てほしい作品であることは間違いない。

 

監督:原田眞人 
原作:半藤一利 
脚本:原田眞人 
製作総指揮:迫本淳一 
エグゼクティブプロデューサー:関根真吾 豊島雅郎 
プロデューサー:榎望 新垣弘隆 
撮影:柴主高秀 
照明:宮西孝明 
録音:照井康政 
衣装:宮本まさ江 
美術:原田哲男 
編集:原田遊人 
音楽:富貴晴美 

阿南惟幾:役所広司 
昭和天皇:本木雅弘 
畑中健二:松坂桃李 
迫水久常:堤真一 
鈴木貫太郎:山崎努 
阿南綾子:神野三鈴 

 

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