茶道を題材に、日本の文化、自然、人についての奥深さ、豊かさ、繊細さを約100分の映像の中に凝縮させた佳作です。
アマゾンプライムにあったので視聴したのですが、コロナウイルス感染防止のため普段と異なった毎日を余儀なくされている今の日本人にぴったりの作品でした。私にとって、「日常」「人生」「音」を振り返る機会となりましたし、見る人それぞれの気づきが得られる作品だと思います。
茶道の師匠役である樹木希林と弟子役である黒木華の地に足に着いた演技が、落ち着いた映像にピタリと嵌り素晴らしいです。映画には茶道の所作が映されたり語られる場面がいくつか出てきますが、この二人には茶道に通じた役者としての所作を感じます。
映画の終盤、新年のお茶会で弟子たちを前に、師匠の武田先生(樹木)がこう言います。
「またこうして初釜がやって来て、まあ毎年毎年同じことの繰り返しなんですけれども、・・・こうして同じことができるってことが本当に幸せなんだなあって・・・」
この台詞の意味を噛みしめることができるのも今ならではです。
スタッフ・キャスト
監督:大森立嗣
原作:森下典子
脚本:大森立嗣
典子:黒木華
武田先生:樹木希林
美智子:多部未華子
雪野:鶴田真由
典子の父:鶴見辰吾