その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

初 真央くん: NHK交響楽団 11⽉公演、指揮:熊倉 優 @NHKホール

2020-11-16 07:30:17 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

11月のN響演奏会は、先月より一歩進んで、休憩ありの2時間程度のプログラムへ。感染状況は予断を許しませんが、完全終息はないでしょうから、こうやって少しづつニューノーマルを試していくしかないと思います。座席は今月も両隣は空けての配席です。今回は藤田真央くんがN響初登場と言うことで、チケットは完売だったようで、隣は空く余裕ある空間ながらも熱気はむんむん。NHKホールは座席が窮屈なので、この方式が一番いいではないかと経済性無視で勝手なことを考えたりしてました。

私も真央くんは全く初めてなので興味しんしんでした。プロフィールを見ると22歳ぐらいのようですが、舞台に登場した真央くんは、髪型、お肌、顔立ちが中高生のような。初登場というN響に対しても臆するどころか、天真爛漫なオーラが全身に漂っていました。こりゃあ、人気が出るわけだ。もちろん腕のほうも素晴らしい。シューマンのピアノ協奏曲の美しく、優しい演奏に痺れまくりでした。細かいテクニックは私は分かりませんが、うっとりする美音でした。N響も真央くんを全面に引き立てる伴奏ではなくて、ソロ・合奏ともに自己主張を感じる演奏で、真央くんとの掛け合いが刺激的でした。

盛大な拍手に応えてのアンコールはモーツァルトのピアノ協奏曲第3番からとのこと(聴いていてモーツァルトであることは確信しましたが、曲名はわからずTwitterのツイート情報です)。これがまた、軽快で優雅な弾きっぷり。若きモーツァルトもこんな風に弾いたんではないのかと思いました。

真央くん目当てだったのか、後半、私の席周辺は3名ほどお帰りになったようでしたが、後半も熊倉・N響コンビは充実した演奏を聴かせてくれました。後半のトップに、バッハの作品が置かれていたのが嬉しかった。コース料理のお口直しのような味わいで、N響のアンサンブルがバッハの曲を聴かせてくれました。

そして、最後はメンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」。第1楽章はイタリアの明るい陽光を感じるようなきらびやかな演奏で、第2,3は美しい音色にうっとり。そして、イタリアの舞曲にインスパイアされている第4楽章は刺激的で挑発的な曲で、この曲をこんなに楽しめたのは今まで無かったような気がします。

指揮者熊倉さんも、私は初めてでしたが、まだ30歳前でこちらも若手。堂々として明快な指揮ぶりでとっても共感できるものでした。N響でアシスタントして加わっていたということで、団員の皆さんとの信頼関係もしっかりできている感じが舞台を通じて伝わってきました。なんか団員さんが「俺らがしっかりやるから、熊倉、頑張れ!」と言っているような感じでしたね。

真央くんのN響出演も熊倉さんの登壇も、コロナが生んだ不幸中の幸いハプニングだったのかもしれません。これから彼らがどんな成長を遂げるのか、おじさんはとっても楽しみです。

NHK交響楽団 11⽉公演
2020年11月15日(日)3:00pm
NHKホール

指揮:熊倉 優
ピアノ:藤田真央

メンデルスゾーン/序曲「フィンガルの洞窟」作品26
シューマン/ピアノ協奏曲 イ短調 作品54
バッハ(レーガー編)/コラール前奏曲「おお人よ、おまえの罪に泣け」BWV622
メンデルスゾーン/交響曲 第4番 イ長調 作品90「イタリア」

NHK Symphony Orchestra, November Concerts at NHK Hall
Sunday, November 15, 2020 3:00p.m.
NHK Hall 

Masaru Kumakura, conductor
Mao Fujita, piano

Mendelssohn / "Die Fingals-Höhle," overture Op. 26
Schumann / Piano Concerto A Minor Op. 54
Bach / Reger / "O Mensch, bewein’ dein’ Sünde gross," BWV622, chorale prelude
Mendelssohn / Symphony No. 4 A Major Op. 90 "Italienische"

コメント
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