その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

NHK「噺(はなし)家 柳家小三治 コロナ禍と戦う男」

2021-08-07 10:33:15 | 落語



6月に放映されて録画したままになっていた小三治師匠のドキュメンタリーを見る。落語界3人目の人間国宝にして、81歳の今なお、高座に上がる。コロナ禍での師匠の生き様がレポートされた見どころ一杯の力作だった。

師匠の落語は、この6月に近隣の市民会館での独演会があったので、初めて生で聴いた。マクラが長くて面白い。前半はまくらだけで40分以上話し続けた。演目は「長短」と「粗忽長屋」。登場人物の演じ分け方が絶妙で、目の前で二人がいるようだ。前列2列目で、師匠がにこっと笑うときの視線が、自分に向けられているような気にさせてくれる良席だったこともあり、その表情の豊かさにも魅了された。2時間、ひとり座って、話し、聴衆を引きつけ続け、楽しい、幸せな気持ちにさせてくれる。落語家って、凄いと思った。

番組では、師匠が、コロナが猛威を振う中、日本列島を仙台、東京、京都、熊本と縦横に訪れ、演じる姿が放映された。リューマチを患った81歳の体には移動だけでも大儀な様子だが、師匠の落語に賭ける思いが痛いほど伝わってくる。いつまでも元気で、演じ続けて欲しい。

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