その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

夏明け早々幸先よし 東響 東京オペラシティ・シリーズ/指揮:下野竜也/シューマン 交響曲第2番ほか

2021-09-05 07:30:28 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


7月上旬以来、ほぼ2か月ぶりのコンサート。いよいよ秋の演奏会シーズンの始まりである。コロナウイルスの感染が一向に収まらない中で、来日音楽家の変更は当面避けられそうにないが、演奏会に行けるだけでも良しとせねばならないだろう。

本日のプログラムもコロナ影響で指揮者・独奏者ともに変更になったが、充実のプログラム、出演者の熱演で、「代演上等!」と胸張って言える感動的公演であった。

冒頭のフォーレ、組曲「ペレアスとメリザンド」からその神秘的な音楽に酔う。美しい弦のアンサンブル、木管陣の柔らかな調べが極上だった。

続く、モーツァルトのピアノ協奏曲第23番。代演で登場した奥井紫麻さんは初見の方で、17歳の若手である。プロフィールを見るとすでに国際的な経験も数多く積んでいるよう。薄空色のドレスに身を包んで登場し、17歳らしい初々しさはあるものの、とっても落ち着いているように見えた。演奏はとっても安定していて、清々しく、軽快。オケとのコンビネーションもばっちりで、モーツァルトの音楽の楽しさを最大限に味あわせてくれた。

後半のシューマンの交響曲2番は実演に接するのはきっと初めて。下野さんが振るシューマンは、昨年来N響で交響曲3番、4番を聴いていて好印象だったので、今回も期待大。そして、まさに熱量高い演奏で、興奮の30分だった。下野さんの指揮はシューマンの音楽の構造を丁寧に示してくれて聴きやすい。弦は聴き慣れているN響とも一味違ったダイナミックな熱演だったし、管楽器の音色も美しく、うっとり。ティンパニーの連打も効果的で印象深かった。

終演後は今日も多いとは言えない観衆(オペラシティ・シリーズは何故かお客さん少な目で勿体ないのである)から暖かく、盛大な拍手が寄せられ、私も負けじと拍手を送った。


東京オペラシティシリーズ 第123回
Tokyo Opera City Series No.123
東京オペラシティコンサートホール
2021年09月04日(土)14:00 開演

指揮:下野竜也
ピアノ:奥井 紫麻

フォーレ:組曲「ペレアスとメリザンド」
モーツァルト: ピアノ協奏曲第23番 イ長調 K.488
シューマン:交響曲第2番 ハ長調 op.61


Tokyo Opera City Series No.123
Sat. 4th Sep 2021, 2:00 p.m.
Tokyo Opera City Concert Hall

Conductor : Tatsuya Shimono
Piano : Shio Okui

Fauré : Pelléas et Mélisande
Mozart : Piano Concerto No.23 in A major K.488
Schumann : Symphony No.2 in C major op.61
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