官邸の不正疑惑を巡って、内閣情報調査室に出向中の若きエリート外務官僚と疑惑を追いかける女性新聞記者のやり取りが描かれる社会派ドラマ。安倍内閣のモリ・カケ問題を彷彿させるタイムリーな題材だ。
第43回日本アカデミー賞において、作品賞、主演男優賞、主演女優賞を獲得した作品でもあり、業界での評価は高かったようだが、残念ながら私のストライクゾーンからは外れていた。善人、悪人が明確な人物設定、リアリティに欠ける内閣情報室のオフィス、メッセージがあいまいなラストシーンを初め、コンセプト・ディテールの両方で気になってしまうところが多々あった。ストーリー自体には引き込まれるところあるのだが、いろんなところが気になってしまい、投入しきれない欲求不満が終始残った。現実は、人はもっと複雑だし、社会も泥臭いのだが、その点が表現しきれてない印象である。
秀逸だと思ったのは、若手エリート官僚を演じる松坂桃李の演技。先日観た「蜜蜂と遠雷」でも良かったと思ったが、表情、仕草で語り表現できる役者だ。
多くの支持を受けている映画なので、単に私の好みと違っていたということだと思う。
新聞記者
監督 藤井道人
脚本 詩森ろば、高石明彦、藤井道人
原案 望月衣塑子「新聞記者」、河村光庸
製作 高石明彦
製作総指揮 河村光庸、岡本東郎
出演者 松坂桃李
シム・ウンギョン
本田翼
岡山天音
郭智博
長田成哉 ほか