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私もそれなりに年齢を重ねてきて、こうした自己啓発本を読んで心酔するほどの影響を受けることは無くなってきた。ただ、自らの日々の実践や経験から来るノウハウと照らし合わせるチェックリストとして読んだり、実行はしていても自分の中で言語化できてなかったことが、他人により言語化されているのを認識するのは、とっても有用だ。なので、時折こうした本を手に取ってみる。
本書はSNS上の誰か(忘れてしまった)のオススメ。自己革新、コミュニケーション、思考法、仕事術、お金、健康、幸福といったテーマで、自己啓発本の「女王」である勝間さんなりの経験や世の研究に基づく知見が披露される。
私なりに一番の「なるほど」はレジリエンス(ストレスやショックを受けた状況にもうまく適合し、心身の健康を維持する力や回復する力)についての記述だった。とかく、私のような昭和的サラリーマンの残党は、苦境に対する処し方は、個人の心の持ち方や強さに目が行きがちで、「強い奴」「弱い奴」みたいな見方をする。
勝間さんは、「まず、家庭や友人関係、学校、会社などの環境を変えることに注力した方が良い」と言う。「助けてくれる人や組織、地域、自治体などのコミュニティのサポートを確保できていると心理的安全性が高まって、平常心を取り戻しやすく、回復をはやめる」からである。(p142)
そして、環境の整え方として、1)困ったときに困ったと言える、2)何があってもこの人たちだけは助けてくれるというという存在を持つ、3)トラブルを吸収して跳ね返せるだけのお金や時間のリソースを持つ、といったことが示される。他にも環境を変えるやり方は様々な方法があると思うが、意識してそうした見方を身に着けたい。
言語化の観点からは、「早めに行動するほど時間価値は高まる」「仕事選びは将来性のある方にBETし続ける」「虫の知らせを聞き逃さない(予感・直観を大切にする)」などは、自らの経験と照りあわせて大いに首肯できるアドバイスだ。
どちらかと言えば、20代、30代向けのハウツー本であると思うが、いろんな知恵が散りばめられているので、読む人夫々が、共鳴できるところを取り入れれば良いと思う。
目次
第1章 新しい可能性に投資しよう―自己革新の知見
第2章 自分も相手も気持ちよく―コミュニケーションの知見
第3章 メンタルブロックを外そう―コントロール思考の知見
第4章 短時間労働で成果は出せる―仕事の知見
第5章 収入に上限はない―お金の知見
第6章 体力はお金より仕事より大事―人生百年時代の知見
第7章 完璧を目指さない―幸福度アップの知見