その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

高橋浩一 『無敗営業 チーム戦略 オンラインとリアル ハイブリッドで勝つ』日経BP、2020

2021-11-11 07:30:29 | 


どこの会社の営業担当も似たようなものだっただろうと想像するが、コロナ禍の中、オンライン営業と(対面の)リアル営業の双方を活用し、何とか売り上げを維持しようと苦しんできた。そんな中で、「オンラインとリアル ハイブリッドで勝つ」というサブタイトルは、そんな私にどんぴしゃりで、即ポチ購入となった。そして、十分に期待に応えてくれる内容だった。あらゆる営業担当、営業マネジャーにお勧めできる。

筆者は、「ハイブリッド営業」では対面営業とオンライン営業の夫々の良さを活かし、使い分けるのが大切と説く。お客様と歩調を合わせながら、一歩一歩前に進む二人三脚で進めるのが基本なのだ。オンライン営業ではあえてプレゼンをぶつ切りにして、お客様が質問しやすく、納得感が高まるように進める。プレゼン資料もあえて表紙をつけず、お客様と共同作用で創り上げていくようなプロセスを踏んでいくのが良いという。実践的なアドバイスだ。

また各章のまとめとしてアクションリストがついており具体的なのも良い。しかも、営業トップ、チームリーダー、メンバー、企画チームと各人の役割に応じてリスト化されていることはなお嬉しい。一例としては、「二人三脚」営業(第3章)にしても、事業トップのアクションは「ハイブリッド営業を言語化し、全社に伝える」ことであるし、営業マネジャーにとっては「提案活動の回転が上がるよう、対面とオンラインの使い分けについて具体的指示を出す」ことであり、営業担当には「お客様接点が増えるように、2つのやり方を組み合わせ、電話・資料・メールの内容を工夫する」ことであり、企画担当にとっては「成果を上げているメンバーのやり方を水平展開する」ことになる。

それ以外にも、営業活動の「見える化」、営業の型を身につけさせるためのグー・チョキ・パー(グー:具体的な営業シーンのサンプル、チョキ:チェックポイントを抑えているか、パー:パーフォーマンス確認)のサイクルを回すセールス・イネーブルメント、PM(パフォーマンス/メンテナンス)の最適バランスを考えたコミュニケーションのノウハウなど、日々の業務で参考になるアドバイスは多かった。何度も読み返して、営業活動・マネジメントのフレームワークとして活用できる一冊だ。

【はじめに】
【第1章】強い営業チームに欠かせない 4つのキーワード
【第2章】オンライン商談は「段取り」と「納得感」で決まる
【第3章】ハイブリッド営業の勝ちパターンは「二人三脚」
【第4章】活動プロセスの実態は「フェーズ」と「行動の量・質」で見る
【第5章】「仕組み」を使ってプロセスマネジメントを推進する
【第6章】人が育つ仕組みを作るセールス・イネーブルメント
【第7章】PM理論でコミュニケーションのバランスを整える
【第8章】これから営業チームはどうなるか
【おわりに】~営業は「知的創造活動」の時代へ~
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