その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

N響新時代の前奏曲 11月C定期 指揮:ファビオ・ルイージ/ブルックナー交響曲第4番

2021-11-20 07:26:01 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)
来シーズンより常任指揮者のポストに就くファビオ・ルイージさんのお披露目的公演。現職パーヴォさんが同様の立ち位置だった2015年2月のマーラーの交響曲第1番の演奏が、今でも記憶に残る壮絶なものだったので、自然、今回の演奏会にも期待感が高まります。

この日はCプロなので、ブルックナー交響曲第4番の一本勝負。この曲は何故かご縁に恵まれず、実演に接するのは2回目。個人的にはブルックナーには苦手意識があるのですが、とってもスマートな印象があるルイージさんのブルックナーって、ちょっと想像が難しく、更にワクワク度がアップ。

そして、演奏は期待に違わぬ素晴らしいもので、今後のN響新時代を予感させました。曲の解釈等は私には分かりませんが、ルイージさんから引き出されるN響の音は、雄弁で熱く美しい。ブルックナーというとどうしても武骨で硬くて重いけど神聖というイメージがありますが、芸劇の3階席に届く音は、香るような豊かで柔らかい音色。こういうブルックナーもあるだと驚きでした。

パーヴォさんは機能的な美しさが引き立ちますが、ルイージさんは見通しの良さや機能的な美しさも持ちつつ、ドラマティックというか、人の気持ちにより訴えるような+αを感じます。何か、パーヴォさんが引き上げたN響を更に異次元に持っていてくれるような、そんな予感がします。

オケも大活躍。管楽器の響き、弦の重層的なアンサンブル、気合入ったN響の演奏はいつも嬉しいです。個人的な印象ですが、前のめりではあるものの、パーヴォさんのお披露目マーラー演奏の時ほどの張り詰めた緊張感は、団員さんの表情から読み取れなかった気がします。これは良い意味でルイージさんと相互の信頼関係が既に構築されているということなのだろうか?などと勝手なことを考えました。

終演後は、当然、会場から大拍手。私の斜め前方の殿方は、終わるや否や立ち上がって熱烈拍手を送っていました。さあ、来週のチャイコフスキーも楽しみです。



第1943回 定期公演 池袋Cプログラム
2021年11月19日(金)開演 7:30pm(休憩なし)
東京芸術劇場 コンサートホール

指揮:ファビオ・ルイージ

ブルックナー/交響曲 第4番 変ホ長調 「ロマンチック」

No. 1943 Subscription (Ikebukuro Program C)
Friday November 19, 2021 7:30p.m.
Tokyo Metropolitan Theatre

Fabio Luisi, conductor

Bruckner / Symphony No. 4 E-flat Major "Romantische"

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